火 の 鳥 


大阪松竹座。1階17列3番。後ろから3番目端っこの方なので、私の座席人生なんてしょせんこんなもんさと思っていたけど、入ってみると、すぐ横に花道が!こんな小さな劇場だとこんないいことがあるのね!花道は座席ひとつおいた4番と5番の間にあるんですもん!その距離約80センチ。目のあまり良くない私にも舞台上の人の顔も分かるくらいだし。オペラグラスで見れば完璧!SMAPさんもこんなところでやっくれたらなぁ、どうなるんだろう・・・と思うも、ダメダメそんなんチケットが絶対取れなくて、ラッキーにも見れた人を恨むことになるやもしれないのでダメ!と心がせまい人間でございます(笑)。

原作はもちろん手塚治虫。ちゃんと読んだことはないけど、なんとなく雰囲気は分かる。

 片腕、片目の傍若無人な盗賊、我王が、なぜかなついてくる速魚(はやめ)という美しい女性を妻にしたが、人に愛されることを知らず生きてきた我王は、自分の腫れた鼻に速魚が塗ってくれる薬を毒だと思い込み、速魚を殺してしまう。すると速魚は消えて1匹のホタルの死骸が。前に偶然蜘蛛の巣に引っかかっていたホタルを助けたのだが、そのホタルが速魚だったのだ。我王は良弁和尚の元で心を入れ替え、彫刻を彫り続けるようになり、魔除けの石像づくり師として評判になっていった。
 一方、仏師として将来有望だった茜丸は、火の鳥を彫り上げることを夢見ていたが、かつて山で我王に会い右腕を使えなくされ金品を取られた。そのときプチという少女に助けられ、その後左手で仏師として成功し、奈良の大仏建立の指揮を任されるほどの名声と地位を手にしていた。しかし、大仏建立が民にどれだけの負担を強いているかも考えもしない人間になっていた。
 その二人が、仏像の堀り比べをすることになり再会をする。今や邪心に侵された茜丸より、純粋な心になっている我王の方が一目瞭然にすばらしい仏像を彫り上げ、逆上した茜丸は、我王の過去を暴露。人々をだました罰として、我王は左腕までも切り落とされた。
 茜丸は、大仏の建立をなしとけたが、プチは離れていってしまう。むなしい日々を送る茜丸は宝物殿が火事になったとき、昔プチと一緒に掘った観音像だけは、と取りに入り、取り出してくるが自分は死んでしまう。
 寂しい山の中で赤ちゃんを抱いているプチ。そこに、今は口にノミを加えて仏像を彫り続けている我王が通りかかる。茜丸が死んだことを聞き、プチとともに茜丸の心を慰めるのであった・・・。「苦しみながら生きよ」という自分に課せられた使命を思いながら・・・。

いやー、感動したぜ。速魚が死んだときも、掘り比べのところも、最後のほうも泣けたし。結構複雑な筋がわかりやすく表現されていた。牧瀬里穂の二役、雰囲気が全然違っていて、よかった。特にショートカットのプチがかっわいーい。萩原流行さんの我王も、良弁和尚の村井国夫さんもはまっていた。茜丸の鈴木綜馬さん?は知らなかったけど、うまい役者さんって感じ。庄野真代の火の鳥は、出てくるときはつられっぱなしだけど、なめらかな空中浮遊感が綺麗。客席の上に浮かんだときはちょうど真下だったので、下から見あげるのがちょっと悪いような気がしたです。
ミュージカルとはいえ、歌は少なく、大仏建立のときの工事現場の歌のラップなんかファンクですごく楽しかった。全員合唱の歌は客席の間にも大勢入ってきて、拍手で歌っていたけど、全然違和感なかったし。

舞台の一番手前にうっすい幕をおろして、映像も映していたのがすごく綺麗でした。舞台の両脇には、説明書きが出るようになっていたし、見やすかったです。
あ、そうそう、高校生くらいの男の子で森山未來?くんがかわゆかったです。わ、この子チェーック!って感じで。ジャニーズ系ではないと思う。

やっぱりなー、近いのがいいよなー。「七色インコ」はすっごい遠かったもん。それでも発していたオーラを感じられたんで、あれ近くで見られていたらと思うと、ちょっと恐ろしい(笑)。

舞台トップへ