謎の下宿人
サンセット・アパート


<あらすじ>
戦前の建築のまかない付き下宿にやってきた町田恭平くん。そこは博打にはまって仕事をしないけど憎めない大家さんとしっかりもののおかみさんがいて、一癖もふた癖もある下宿人たちが家族のように住んでいる。
セイさんは豪快なおっちゃんで何をやってるかわからない
キクさんは18歳で受験のために上京してそのままいついて24年間ここにすんでいる筋肉バカのぷー太郎。
水商売をやってるらしいエイコちゃんはたくさんの男が通り過ぎていったらしいけど明るくていいコ。
町田くんはみんなに違和感を与えつつも、次第に溶け込んでいく。
博打で負け続けていた大家さんは町田くんの来た日に大穴を当てたし、数年前に家を出ていって音沙汰のなかった娘たちが帰って来る。それぞれ幸せとは言えない事情を背負ってる娘たちだけど、久しぶりに揃ってにぎやかな家族。
そんな中、大家さんの先物取引が大損をして莫大な支払いを迫られた。それを救うべく町田くんが差し出した大金。いったい町田くんは何者なのか?
でもそのお金をもってしても支払いは足らないのでとうとうこの下宿屋を売ることを決意する大家さん。
みんなの思い出がいっぱい詰まった下宿屋は、この夏、その幕を閉じることに。
みんなバラバラになるけど、新しい恋も生まれて未来は決して暗くないのです。


2003/05/27 PARCO劇場
<ロビー>
お花は誰からかしら?
一番でっかいのは三輪明宏さん。矢田亜希子ちゃん、高島礼子さんの花がしっかりと目立つ場所に。
カードで表示されてたのは、宮沢りえちゃんほか。その他いろんな番組やテレビラジオ関係からでした。

<開演前>
今日は東京千秋楽。それに前から4列目のど真ん中という超良席。目の前の3列にどんな人が座るのか興味津々で待っている。あ、二人組みの女性が最前列に!でも、「え?普通の人じゃん。」(笑)
そして、次第に目の前を埋めていく人たちはどう見ても一般人。こんなはずではなかったのに。あー、あの海に冒された男は吾郎さまの舞台を見に来ないというのか?!
振り向くと中央あたりに腕組みして難しい顔をしたようなおじさんたちが座ってるけども、どう見ても知った顔はいない。
お着物の上品なお姉さまもいたし、その服は何のため?って感じの方や、その頭の飾りは何とかしてくれー後ろのの人が見えねぇぞー!って感じの方はいたものの、やっぱりパンピーとしか思えないのでした。結局私の左隣は最後まで空席で、その左には男性が一人で座っていたので、ひょっとしたら、私の横にあの不必要に顔の色が焦げた兄さんが来るはずだったのかも、と勝手に思ったりしておりました。

<第1幕>
リアルなセット。ちゃぶ台を囲んだ居間と左手には台所。右には座り心地のあまりよくなさそうな応接セット。古い箱型のステレオ。
居間の向こうは中庭になっていて、中庭ごしに奥の棟が見え、その上の2階の部屋が窓から覗ける。
右端にトイレ。応接コーナーの奥に玄関があって、そこから奥へ向かって階段があり、2階へ行けるようになっている。
古い扇風機、足踏みミシン、ブタの蚊取り線香入れ、風鈴、ぶら下がり健康器。
懐かしい雰囲気とセミの声とともに町田恭平が中庭から現れる。
現れた瞬間、一瞬空気が止まった。会場のすべての女性が息を呑んだのです。本当に。「はっ!」って感じ。身体は硬直。
うわ〜〜〜〜!!身体がピキンと硬直!実物大だぁー!髪がふわふわの茶髪で、あらーこんなに茶色だったとは気づかなかった。綺麗!きれー!!
大家さん(平田満さん)がトイレからあわてて飛び出てくる。この下宿屋に越してきた町田恭平くんをお迎えしてくれます。
太宰治に似てるって言われて照れる恭平くん。
引き出しを押し込んでしまって慌てる大家さんがおかしかったわ。
大家さんはビール、恭平くんは麦茶で乾杯。
ちょっと腰を浮かし気味の正座が何ともかわいい恭平くん。大家さんは前払いの家賃を受け取ってさっさと競馬に行っちゃいました。
左手で契約書を書いてる。当たり前だけど。

キクさんが「燃焼系、燃焼系!アーミノー式ぃー♪」と運動中。18歳のときから24年間下宿してるキクさん。愛すべき人です。
おかみさんが買ってきたビンのマヨネーズを開けるのは吾郎さまのキャラじゃないわん。「押し込みながらひねる!」はいいけど。
片膝ついて「いただきます!」の恭平くん。麦茶飲んでこっち向いおいしそうなお顔です。
大家さんちの家族状況をしゃべりながら、あのゴロゴロするトレーニング器具(久利生くんもやってたやつ、名前忘れた)を黙々やってるキクさん、すごい。
クマの置物が、夫婦の愛のコミュニケーション。いつもは四つんばいのクマが座って甘えたら翌朝おかみさんも機嫌がいいんです。
エイコちゃんは豪快なおんなのこ。「うお座のAB型」って当てられて自分を抱きしめる恭平くん。
手持ち無沙汰にたたずんでいる風情もステキな吾郎さま。
セイさんに対抗してダジャレを言うけど笑えないダジャレの恭平くん。ピンポンのパントマイムも口で鳴らして。トロロづくりの輪の中に混ぜてもらったけど微妙に2人に合わない恭平くん。
大家さんが恭平くんの払った家賃を持っていっちゃったと判って、みんな大騒ぎ。恭平くんもミシンの方に走ってて、30センチサシをひっつかんでおいて慌ててまた戻してました。
大家さんに抱っこされて両足そろえてピョコって足を後ろに跳ね上げるのがかわいい〜。
大家さんが大穴を当てたのは恭平くんがラッキーを運んできてくれたから。今日もみんなで大宴会。冷蔵庫をさぐる姿がおうちでの吾郎さまを想像させたりして。
おかみさんと大家さんを盛り上げようとするみんな。「盛り上がりが安定したら呼ぶからしばらく休んでて」って言われる恭平くん。「あら悔しい(はあと)。」って。

15年ぶりにこっそり帰ってきて隠れていた次女のナツコとトイレで遭遇。佐藤ひ仁美さんの声が好きなんだなー。ちょっとハスキーがかったつやのある声。中居さんの調子のいいときの声と同じ質。
幼稚園のパン食い競争でビリになって「うさぎ賞」だった恭平くん。気取ってうさぎについて論じています。
ナツコの話はいろいろ聞いてるから、たとえ高校生のときに「砂かけババア」のコだったとしても恭平くんにとっては、ナツコに会えたことは光栄なんです。
「イメージしてるんです。」がクセの恭平くん。ANAの「イメージしてください。」を思いだすわ。
大家さんがクマを座らせていたので、それを見て驚く恭平くんがキュート。両手を顔の横でピョコってします。
頼りにしてるって言われて、「きっとそういうタイプなんです。ぼっとしてるように見えて実は扇の要になってる。」って断言しても、そうは見えない恭平くんです。
ナツコは空き部屋に隠れて、おかみさんがやってきて。クマに気づかそうとする恭平くん。
雑誌の片付けをしないと、といろいろやって、やっと気づいてくれたのでひそかにガッツポーズ。

長女のタカコが駆け落ちした旦那さん(お父さんに昔大損させた証券マン)と一緒にこっそり帰ってきます。羽場さんの声ってすごいわー。これぞ舞台俳優って感じ。
ここでこの夫婦の会話中にお茶がこぼれるハプニング。こぼすなよっ!」ってアドリブでティッシュで拭いてました。大ウケ。すごい上手だなー、この2人。
みんなはこの駆け落ちした夫婦が許しを乞うために帰ってきたと思って大家さんともっと盛り上げようします。従って場を盛り下げることはすれど盛り上げはしない恭平くんはクビになって下に降りてきます。
夫婦の会話、帰ってきた本当の理由を聞いてしまってバツの悪い恭平くん。安西さんと見合って見合って(笑)。
紆余曲折を経た夫婦の話を「ビシビシ生きてる感じが羨ましい。」と言って、意気投合(笑)?おとなしい人生だけど「やんちゃな狼」が目覚めた安西さん。また恭平くんはイメージします、「やんちゃなオオカミ」を(笑)。
先に母に話してナツコに電話するタカコ。どこにいるの?って話してたら、そこに(笑)!姉妹2人とも男と別れて帰ってきたのでした。
お母さんに話して泣き出すナツコはシャドウがとれて目がパンダになってました。
お父さんが全部知って荒れる荒れる!
娘たちも謝ってこの家に置いて欲しいと言う。2人が土下座して叫ぶのがじぃーん・・・・。
「親に対しては幸せになることが子供の責任なのに、それができなかったこと。」って言うタカコの言葉に涙してしましました。
人生の時間を無駄遣いしたのだと怒るお父さん。「でもそれは違うんじゃないでしょうか・・・?」と恭平くん登場。
「ナっちゃんっていう長編小説があったらすごくおもしろくて羨ましいですね。」しんみり、じわーっとその場が収まっていきます。
飛び出したお父さん、追っかけていく娘たち。
「町田くん、いいこと言ってくれた。はっきり言ってなんだかわからなかったけど。」っておかみさん(笑)。
そのとき、クマがまた四つんばいに戻ってて、がっくりのおかみさん。「そんなはずじゃぁ・・・!」恭平くんびっくり。

<第2幕>
どれくらい経ったのかな、姉妹の雰囲気がとてもいい。背中にタオルをはめ込むおばさんちっくな感じが素敵なタカコさん。
ナツコが見つけた懐かしい思い出の品は、ナツコのちゃぶ台模様の給食袋と、小学校5年のときに「結婚」って書いたタカコのお習字(笑)。
恭平くんは、えんじのラガーシャツにジーパン。お祭りに行かない?って言われて日に焼けちゃうからダメって言う恭平くん。「ブロックしないと。」(笑)。
ナツコの作ったちゃぶ台の袋を見つける恭平くん。ちゃぶ台柄のバンダナでデビューしてすごく売れたという話。恭平くん興味津々。

セイさんが夜な夜な何をしてるのか?
キクさんは恭平くんの言った自分小説のことを考えてみると、何も書かれていないかもって落ち込んでます。

大家さんは性懲りもなくコーヒーの先物取引に手を出してすごい損をしてることが発覚します。安西さんは融資を断ってたのに、会社の上司とその愛人(安西さんは自分の彼女だと思ってた女)がつるんで安西に内緒で大家さんに融資をしてたのです。都心に土地を持ってることに目をつけて。
なんと来月の末までに6千万円清算しないといけません!
金庫を開けようとするお父さんをタカコが怒って叩く。泣くお父さん。そこに帰ってきたお母さん。ただならぬ雰囲気に問いただします。
お母さんは、おもむろに冷蔵庫からキャベツを取り出します。キャベツを切ると落ち着くお母さんです。
話を聞いていた恭平くんは2階に走って行ってカバンを持っておりてきます。「安西さんこのお金を使ってください、1200万円あります。」
何も聞かずに「助かるよー!」とさっさと持ってく安西さんもおかしいけど、聞いてしまうと借りられなくなると困るから?
ナツコ「何のお金?あんたいったい誰なのよ?!」逃げるように出て行く恭平くん。
<暗転>

恭平くんのおかげで安西のサラ金に借りた分は返せたけど、まだ足りません。おかみさんが下宿屋を売ることを考えてると知って何とかしようとする下宿人たち。
恭平くんが帰ってきて怒ってゲンコツでテーブルを叩いて乱暴にソファーに座ります。誰もお金を貸してくれないって。
ナツコにいろいろ聞かれるけど、はぐらかす恭平くん。「マッチ」と突然呼ばれてびっくり。
「ぐちぐちしてる」って言われてそうじゃなくて「アンニュイ」だと主張します。
「判りました。」って話そうとして「やっぱりやめた!」(笑)。持ち上げといて落としそうなナツコさんだから。
銀行強盗の分け前とか政治家の秘書とか援助交際の元締めとかいろいろ憶測を呼んでます。
大家さんはやけくそになって梯子を上って負け犬の遠吠え中。
「このうちをどうするかは、あなたが出してください。」すごい人だ、おかみさん。
このへんのどっかで、ソファーにすわって考える風の恭平くんが素敵。立って動いてるときにお腹が見えたわー。

工事現場の鉄板泥棒をして金を作ろうとする下宿人たち。恭平くんも仲間に引き入れます。そもそもはセイさんの友達の涙なくしては語れない話から、鉄板泥棒が始まったとかで、こんな人情話に弱い下宿人たち。マッチもこんな話ダメ?「マッチ泣けちゃう♪」(笑)
ここらへんのどっかで、恭平くんがキクさんに間違えて「セイさん!」って言って指摘されてました(笑)。
そして予行演習。恭平くんは見張り役なので、人が来たら踊りを練習してるフリしないといけません。回って!といわれて回る吾郎ちゃん!やんややんや!きゃぁーー(笑)!
アキレス腱伸ばししてる恭平くん。
そんなところをナツコに見られたけど、「でももうどうにもなんないから。」
みんなに座ってもらって大家さんから重大発表。下宿屋を売る話は春からあったので、ずっと考えてきたことでした。でも天然記念物のような町田くんが来てくれたのでもうちょっとがんばってみようとしましたが、こういうことになって売ることにしました・・・。謝りお礼を言う大家さんの家族4人。
座布団に顔をつけてブタ泣きをするキクさん。
下宿人たちもやけくそで、大家さんに口々に最後の文句。
「あのー僕もいいですかー?日の出荘が好きでしたぁー!」柱とかクマの置物とかなっちゃんのミシンとかひとつひとつ走りながら「好きでしたー!」って絶叫!
「日の出荘最後の下宿人として、歴史に名前を残しましたぁー!!」
梯子を上って「日の出荘が大好きでしたあー!!」
ためらわず上がったのはいいけど、あ!高い!って感じ。口を押さえてあたふたあたふた。屋根に上がるなんて、吾郎さまの人生にそうそうないことだろうし、へっぴり腰になるのがかわいいわ。
おそるおそるの様子は演技半分、素半分かな。
梯子をそろそろ下りてきて最後に転びそうになってました。
もうみんな散ってしまった部屋に下りてきてうちわであおいで、ティッシュで汗を拭く恭平くん。で、おかみさんにお金のことを話します。ゲームの会社の社長をしていたのですが辞めたのでその退職金だったのです。なんか幽霊のように感じてしまって辞めたって。「生きてる人よね?触ってもいい?」っておかみさん。
恭「お試しください。」(笑)
私も試したぁーい(笑)!
ちゃぶ台みたいな現実を求めてこの下宿屋にやってきた恭平くん。お金はなくしたつもりだからいつでもいいと言う。
お辞儀して立ってゆっくり歩く姿は吾郎さま・・・。

引越しの作業中。引越しそばを料理中の大家さん。
タカコの夫婦はよりを戻しそうな雰囲気。セイさんとエイコちゃんがうまく行きそうな雰囲気。ちょっとかわいいチュッがありました。
恭平くんがシャツのすそをパタパタしておへそが見えた!うふふ♪
新聞や雑誌を紐で結ぶ恭平くんだけど、十字に紐をかけたら先に回した下の紐も一緒に括らないと!吾郎さまってこんなこと苦手なのねー。吾郎さまらしいわ。
就職を決めてきたナツコと雑誌を片付けながらいい雰囲気。
みんなでそばを食べる準備。ちゃぶ台を囲んでこっち側に背中を見せて座った恭平くんのやわらかそうな足の裏が・・・!足の裏でさえ優雅な吾郎さま(笑)。
相変わらず腰が浮き気味の正座なので足の裏がよく見えるわ。
まずいのでうつむいて静かになってしまう面々。
「量が少ないのが救いだったじゃない?」って(笑)。

ちゃぶ台はキクさんにあげるというナツコ。
恭「いいんですか?大好きなちゃぶ台なのに。」
ナ「いいの。しみついてるから。心の中に。」それに思い出の給食袋もあるし。
実は・・・と恭平くんが取り出したのはナツコのデビュー作のバンダナ。恭平くんが今年の春古着屋で買ったバンダナがナツコのバンダナだったのです。
「つまり、僕はバンダナをデザインした人に惹かれたんですね。それはつまりナツコさんに惹かれてるってことなんです。よかったらこれからも会ってくれますか?」
いい感じだわ。そこにキクさんが帰ってきて騒々しくなって、2階の窓には並んで夕日を見てる大家さん夫婦でした。

<カーテンコール>
4回ありました。2回目、3回目は最初ひとりでいるけど、すぐ袖を見て「みんな早く来てぇー!」って顔をするのがかわいくて!
千秋楽なので銀テープがパン!って飛んで驚いている吾郎さま。手も振ってくれましたさ!目も合う合う。ホントにすてきぃー!!
平田さんだったか誰かに「回ったら?」って言われて恥ずかしがってました。
最後は銀テープを身体にぐるぐる巻きにして、プレゼントfor You!って感じで、ごちそうさまでした!

2003/05/31 ドラマシティ

前日から大阪入りしてた私はいいけど、当日高知から来る方たちは台風のせいで飛行機が止まり、瀬戸大橋も止まり、鉄道も止まり、そりゃもう大変。
でもみんな苦労してやっとたどりついて何とか見れましたぁー。良かったわー!
今日の席は前から8列目で、右の端っこ。いい席続きでラッキーですぅ。
特にハプニングもなく、ふわふわ、キラキラ、しなやかな吾郎さまでございました!


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