第10回 最終章後編 「決意の死〜未来へ」
こんなサブタイトル。果たして未来へ向かえるのだろうか。
 
<第2回証人尋問>
銭高常務の「万俵大介頭取です。」の言葉に騒然となる法廷。マスコミ関係者が飛び出して行きます。
銭高さんに対する大介の突き刺すような視線、その大介を見つめる鉄平くん。

<束の間のやすらぎ>
阪神特殊製鋼の人たちが焚き火を囲んで、上を向いて歩こうを合唱しています。それを見守る鉄平くんと三雲さん。
裁判の形勢逆転という見出しの夕刊を持ってくる倉石弁護士。良かった良かったと安堵の空気。
これなら高炉建設にまた取り掛かれるかもしれない、と三雲さんが言ってくれます。
鉄「ここにいるみんなの思いがあれば、この会社もたて直せると思います。」
銭高さんも早苗さんも、一之瀬工場長も四々彦も歌ってますが、そんなにのん気に歌っていていいんでしょうか。

綿貫さんは、阪神銀行を見限ろうとしますが、大介は言います。「まだ打つ手はあります。」うぅぅ。

<万俵大介の打つ手>
さて、これからだ、と鉄平くんと一之瀬工場長が話をしていると、四々彦が知らせを持ってきます。
会社更生法の適用が認められ、阪神特殊製鋼の管財人が帝国製鉄の和島所長になったと。
やられたー!これが万俵大介の打つ手だったんです。
いやらしげなうす笑いを浮かべながら登場する和島。
まずは解雇される役員が発表されます。社長、そして万俵鉄平専務取締役。
社員たちは「専務!専務!」と騒ぎたてますが、一之瀬工場長だけが留任で、そのほかの役員は全員解雇されたのでした。そりゃ当然なんでしょうが・・・。

「諦めるな」と言う倉石弁護士の言葉がなぜかむなしく聞こえる鉄平専務の部屋。
そこにづかづか入ってくる和島所長。
「裁判についてお伝えしたいことがあります。本日管財人である私が提訴を取り下げました。」
えぇぇ?!そんなぁ!「今審議の真っ最中だというのに。そもそもこれは僕が起こした裁判ですよ!」
「ふっふっ(笑)、ですが、あなたはもう本社の社員じゃありません。今この会社の決定権を持っているのは管財人である、この私です。」
提訴取り下げ書を見せられる鉄平くん。
「これも父の差し金ですか。」
「ご確認いただけたようでしたら、失礼します。」
ひどいじゃありませんかぁー!

<舞台から降りる鉄平くん>
阪神特殊製鋼は非を認め、銭高さんの証言を不十分とし、裁判は中止になります。
専務室でひとり制服を手に取る鉄平くん。これからどうするのでしょう。
そこに従業員たちが騒ぎ始めたという知らせがあり、体育館に行くと従業員たちがシュプレヒコールをあげているます。
帝国製鉄の傘下に入るのは断固拒否!専務の解任の撤回!
そこに鉄平くんは怒鳴り込みます。
「何をしてるんだ!こんなことをして何になる!今は工場を再建することが君たちの使命じゃないのか!」
でも帝国製鉄の下でなんて考えられません。何を目標にしたらいいのか・・・四々彦たちは口々に言います。
「君たちの気持ちは痛いほどよくわかる。だが君たちはこれからも鉄を作っていけるんだぞ。鉄鋼マンがサビてどうする!
今だからこそ思い出してくれ。何のために鉄を作ってきたか思い出せ。自分たちの力で社会を豊かにする、それが原点だったはずだ。
君たちの情熱があるかぎり、ここは君たちの工場だ!
・・・・僕の夢だった高炉を君たちの手で完成させてほしい。そしてもう一度この工場の煙突の煙を僕に見せてくれ。」
専務・・・・・
みんなの輪の中心にいる専務に向かって、回りの社員たちが一歩進んで円周が一回り小さくなります。あまりに揃いすぎて、ミュージカルのようでした。

しばらくはゆっくり休めと言ってくれる三雲頭取。
そこに綿貫さんが来ていいます。大蔵大臣が明日会う、と。「当行にも批判が集まっているようですから。」いやみだわ。

<父の本当の狙い>
銀平に会う鉄平くん。「万俵大介の本当の狙いは何なんだ?」

一方、大蔵大臣から合併勧告をいい渡される三雲頭取。「相手の銀行はどこですか?」
そこに入ってきたのは万俵大介。顔色が変わる三雲さん。
「謎が解けました・・・。」

「うちを倒産させたのもの、すべては大同銀行を飲み込むためだったのか?」気付くの遅いよぉ、鉄平くん。
おどおどする銀平。
「やっぱりそうか。」

怒る三雲頭取と余裕をかます万俵頭取。
「このような合併はとても受け入れられません。」大同銀行の誰も賛成しないはずだ。
「そうでしょうか。綿貫専務は前向きでしたが?」
くそぉー。

グーで額をぐりぐりする鉄平くん。
「ありがとう。」と銀平にひとこと言って出ていこうとする鉄平くん。
銀平は去っていく兄さんの背中に声をかけます。「兄さん。もう兄さんが何をやっても無駄なんだ。すべてはもう決まったことなんです。」
「お前はずーっと前からわかってたんだな。辛かったろ、悪かった・・・じゃあ。」
鉄平くん、あんたはどこまで優しいんだよー!

大同銀行では生え抜き行員たちの血判書が三雲頭取に示されています。
「君たちは利用されてるんです。万俵頭取に使い捨てられるだけだ!」
三雲vs綿貫の闘いは見ごたえありました。

<父との最後の闘い>
神戸港を見渡す庭で父を待つ鉄平くん。屋敷のほうからゆっくり歩いてくる父。
合併のことを書いた新聞を持って、「あなたの本当の狙いはこれだったんですか。あまりに汚いやり口じゃありませんか。恥ずかしいと思わないんですか?」
「そんなことを言うためにわざわざ来たのか?お前は正しいことをしてるつもりかもしれないが、私も経営者として間違ったことをしたつもりはない。それだけだ。」と言い切って去っていく父。
「もうあなたにはどんな言葉も無駄なんですか?!どうしたら僕の思いがあなたに伝わるんですか!」
立ち止まる父。
「僕にはもうなんの力もありません。あの工場にも、万俵家の家族にも何もしてやることができないんです。それができるのはあなたしかいないんです。」
振り返る父。
「お前は私に闘いを挑んだんだよな。私は食うか食われるかなりふりかまわず闘った。それなのにまだお前はそんな甘い理想を振りかざすのか?」
「その理想のために、僕は闘ってきたんです!」
「死んだ爺さんがよくそんなことを言っていたよ。爺さんは私よりお前の才能を高く買っていてな。」ふと淋しい顔をする父。
またそんなことを言うのか、あなたは!というような苦しい表情の鉄平。その目は濡れている・・・。
「僕が本当にあなたの息子だったら、こんな闘いはなかったはずですよね。あなたはこれで、僕やおじいさんに復讐したつもりですか。
・・・僕は普通の家族でいたかった。ただそれだけです。」
「私だってそう望んでいた。だが、お前は生まれてしまった。」
なんてひどい・・・
「僕が・・・・、生まれなければ・・・・。」
「正直そう思うことがある。お前が爺さんの子じゃなかったら、私も今とは違った人生を送ったかもしれない、そんなことを思う自分がとてつもなくいやになる。
私も理性ではお前を愛そうと努力した。だが感情がそれを許さなかった。お前もつらかっただろう。そのことには私も同情する。だが、私だって苦しかった。
この苦しみは、どんなことがあっても、一生消えることはない。」
父から視線をはずし、一点をみつめてる鉄平くん。涙が静かに落ちていく。
鉄平に近寄る父の目にも涙が。
「それが、お前と私の背負った宿命だ。」
父を凝視し、でも次の瞬間には、どこか放心したような表情。遠くを見つめる瞳。そのまま空を見上げる。ひゅうひゅうと冷たい風の音。
もう何もない。・・僕が生まれてこなければ・・・。
力なく歩き、池の淵にたたずむと、涙をおさえ池を見つめる。
将軍がぶくぶくぶく・・・と出てくるのを認め、またあふれる涙。
ゆっくりゆっくりと近づいてくる将軍。それから目をそらす鉄平くん。
次の瞬間、振り向いて憎しみを込めた目で将軍を見て、石を掴んで投げる!力いっぱい投げる!何回も何回も、将軍に向かって。
夕焼けの空。
そのまま何時間もベンチに座っていた鉄平くん。
日が暮れて夜になっても、ずーっとそのままで。

<12月24日>
公衆電話から早苗に連絡する鉄平くん。
優しい早苗の声や、かわいい太郎の声を聞いても、その思いは変わらないのでしょうか。
涙いっぱいの鉄平くんは息子に精一杯の言葉を告げる。「太郎、お前は強い男になるんだぞ。」
おかしいと感じた早苗が受話器に耳を近づけます。
「あなた、今どこですか?」
「・・・。」
「あなた?」
「早苗。」
「はい。」
「・・・・・・メリークリスマス!」
電話を切る。何て勝手な!

<手紙>
鉄平くんは丹波笹山のいつもキジ撃ちに来る山小屋に向かいます。
鉄平さんの行方がわからないというので、万俵家の人々も不安ですが、大晦日の調印会見までは騒ぎは慎んでくれと大介は言います。

「てっちゃんはだいじょうぶ。」芙紗子は鉄平とは兄弟だからわかると早苗に言って励まします。

鉄平くんは雪山で毎日キジ撃ちにでかけますが、ひとりでじっと座っています。
霧氷の中でじっとしてるのがとても奇麗。

山小屋のおじさんは毎日獲物なしで帰ってくる若様を暖かく見守ってくれているのでしょう。
でも「先代の敬介さんに瓜二つだ」と言われることがまた鉄平くんのプレッシャーなってしまうのでしょうか。
おじさんが寝静まってから、きちんと正座して早苗に向けた手紙を書く鉄平くん。

<最期のとき>
阪神特殊製鋼の制服を広げ顔をうずめる鉄平くん。そしてそれを着ます。

万俵大介が銀行合併の記者会見に向かう頃、今日も銃を持ってでかける若様におじさんが声をかけます。
「大晦日は殺生をしてはいけない、戻りなはれ。」
でも万が一の威嚇用だと言い、そのまま山に入っていく鉄平くん。

あの木のところへ。

庭で太郎を遊ばせている早苗の元に手紙が届きます。
『丹波の山の中にいる。この山は祖父と何度も猟に来て鉄作りの夢を語り合い、三雲さんもと高炉建設を誓い合った思い出の山だ。』
すごい吹雪の中、あの木の元へ一歩一歩歩く鉄平くん。
あの木のところに凶暴そうな?イノシシがいたけど、去っていきました。

『僕の思いが父に届かないとわかってから、今の自分に何ができるか、そればかり考えていた。』
木に手を添えて見上げる。
『早苗、すまない。結局僕は自分勝手で卑怯な方法を選ぶ。本当に申し訳ない。』ほんまや!
木に額を当てる。
木を背にして、もたれて座る。
しばらくじっとしてる。
胸から写真を取り出す。2年前の志摩のホテルの家族写真。
右足の靴を脱いで靴下を脱ぐ。綺麗な足を出す。
銃を見つめ額に当てて、目を閉じる。
そっと顎の下に銃口を当て、目を閉じて、一つ深く息を吐く。
雲の切れ目から太陽の光が刺して、悲しみの瞳で見上げる。
少しだけ笑って、目を閉じて、ゆっくり息をして、ガッと目を開けて。
バン!!
木のそばで倒れている鉄平、血に染まる雪。

<鉄平が遺したもの>
記者会見場にメモが来て、銀平の手から大介に渡ります。
『ご令息鉄平氏、丹波篠山にて猟銃自殺』

篠山警察署。父と弟が来たとき家族はみんな来てました。
二子「鉄平お兄さまは、阪神特殊製鋼の作業服をまとって最後のときを迎えられたそうです。」
銀平は棺の中の鉄平に駆け寄ります。首の包帯が真っ白なのが目に痛い。
一子「鉄平お兄さまは先代から贈られた銃で。」
弾は一発しか入っておらず、男らしい死に様でした、って、そんなこと言うのかしら、警察が。
確認してくれと渡された死亡診断書を見て愕然とする父。
鉄平の血液型がB型だったとは。それでは先代の子供ではありえないんです。
「あなた、鉄平さんはあなたの子供だったんです!私とあなたの子供だったんです!」母は鉄平の棺に駆け寄ります。
「鉄平さんごめんなさい!鉄平さん!!」泣き崩れるお母さん。
「なんという残酷な・・・」と搾り出すようにつぶやく父。この30年数年間何のために苦悩してきたのか。
銀平は言います。「兄さんを殺したのは、僕とお父さんです。」
早苗は自分に送られてきた手紙をお父さんに渡します。「鉄平さんの最後の思いが綴られています。」
みんな出ていってふたりきりになった父と息子。

手紙を読む父。早苗に宛てたものでも、それは父への懸命の叫びのようです。
父に褒めてもらいたくて、がんばってきたのに、認めてもらえないことの苦悩。
『もしかすると、父も、僕が生まれたせいでできた心の傷を埋めるために、合併という野望をいだいたのかもしれない。
僕の存在が万俵家の家族や関わる周囲の人々を苦しめてきたかと思うと本当に辛い。本来僕は生まれてきてはいけない人間だったのだ。
なのに母は僕を産んでくれた。感謝の思いでいっぱいだ。おかげですばらしい夢を見ることができた。夢を追ったこの2年は僕の誇りだ。支えてくれた全ての人に心から感謝する。そして迷惑をかけたすべての人々に心から詫びる。
これを機に父にも母にも、もう楽になってほしい。僕の死をもって、万俵家の忌まわしいことのすべてが終わりを告げると信じている。そして僕の工場と万表家の家族を幸せに導いてくださるよう、思いを父に託したい。
憎みあっていても血がつながっていなくても、僕の父親は、万俵大介だった。
せめて一度でも、お父さんに微笑みかけてほしかった・・・・。』

涙する父。
棺にすがり、鉄平の頬にそっと手を添えて、「鉄平・・・・鉄平・・・・」
棺を抱えるようにしてただ泣く父・・・。

♪デスペラード
葬儀。「てっちゃんの夢は必ず仲間のみんながかなえてくれるから。」と芙紗子が写真に語りかける。
穏やかで優しい微笑みの鉄平くんの遺影。

庭を静かに走る葬列を止める父。
「鉄平に見せたいものがある。」神戸港を見渡す万俵家の庭に、雨の中、霊柩車を中心に万俵家のひとびとが見下ろす先には阪神特殊製鋼の煙突が。

泣きながら号令をかける四々彦。「操業!再開!」の声で、工場に火が入る。
そして、ついに煙突から煙が立ちのぼる。
無邪気な太郎の声。

銀行を追われた三雲さんが万俵大介に語りかけます。
「新銀行と引き換えに大きなものを失いましたね。」
「一度歩き始めた道は、もう突き進むしかないんです。」
「命をかけた思いも、あなたには届かないのでしょうか。」
「いえ、鉄平は大きなものを遺して旅立ちました。私はそれを重く受け止めています。」
それをどうやって証明できるのでしょう。
相子を切ったことが、それでしょうか。

<昭和44年4月1日>
四々彦と二子は一緒にアメリカへ行くことになりました。鉄平くんの遺志をついでくれることでしょう。
そして今日は合併によりできた新銀行・東洋銀行が発足する日。
しかし大蔵大臣の頭の中には、もう次の合併の絵ができています。美馬に次の銀行局長は君だと、言い、在任中に次の合併を成功させろと言います。
それは、東洋銀行を富国銀行に飲み込ます次の合併。
なんて無情な世界でしょう。阪神銀行の合併なんてただの足がかり。

銀行発足の様子を早苗の家族や四々彦たちとテレビで見ている銀平は、銀行を辞めたのでしょうか。
銀平は父の将来を予感しています。「銀行家としての志もなく、後継者も育っていない。そんな銀行の未来は明るくない。」

披露宴の会場に入っていく美馬を見つける父。これまで美馬のおかげでやってこれたのです。
美馬は、そんな義父を見ると、少し哀れみの表情を浮かべ、でもすぐに薄笑いに変わるのです。
そんな美馬を見て、万俵大介は漠然とした不安に陥ったのでしょうか。
そんな未来なら、鉄平が命を落とした意味があるのでしょうか。いや、鉄平が命をかけて、それを父に教えたのかもしれません。

<明日の太陽>
手紙を書いている鉄平くん。
人間はちっぽけな存在だ。おろかで弱い。だからこそ人間は夢を見るのかもしれない。夢の実現には困難を伴い、時として夢は時として人を苦しめる。
それでも僕は未来を切り開くことができるのは夢に情熱をそそぐ人間の力だと信じている。
しかし、志を忘れたとき、栄光はすぐに終わりに向かうだろう。
・・・それは父のことでしょうか。
ペンを置く鉄平くん。
窓の外からは夜明けの光がそそいでいます。
『・・・・・でも僕はなぜ明日の太陽を見ないのだろう・・・・』
キッと正面を見据える鉄平。なぜでしょう?鉄平自身にも分からないままだったのでしょうか。

<将軍>
エンディングのタイトルバック。
鉄平と一緒に生きてきた将軍も鉄平と一緒に旅立っていきました。

『半年後、鉄平の夢は完成した
その火は今も燃え続けている』

〜完〜


第9回 最終章前編 「最期の父子対決」 (07/03/11)
<43年10月>
鉄平と大介の法廷での闘いが始まりました。
最初の証言台は父。阪神特殊製鋼を意図的に倒産に追い込むなど考えられない、突貫工事のことを聞いて危険を感じ2月15日に返還を受けたと証言。
それを聞いてよっしゃ、と思う鉄平くん。ペンを指でくるんと回します。
銭高さんが記していたもう一つの借り入れ表が原告側から示されざわつく法廷。一之瀬親子と目配せしてちょっと微笑みます。
2月15日に融資返還を受けたという父に対し、1月31日に返金したという証拠を示した原告側。
父を追い詰める倉石くん、やったぞという表情の鉄平だけど、休憩を入れられてしまいます。ちくしょー。
休憩後、父は1月31日に返還されたと訂正します。
1月31日なら突貫工事をまだ決定していなかった次期なので、突貫工事を理由に融資を撤回したというのはおかしい。阪神銀行は原告の経営を意図的に倒産に追い込もうとしていたのではないですか!
裁判長がいちいち被告側の意義を認めるのが悔しいよー。
自分の発言の矛盾を説明してくれという倉石くんの質問に対し、1月31日に突貫工事は決定されていなかったけど、突貫工事に入る予測があった、と答える父。
1月31日には帝国製鉄が6月に銑鉄供給をストップするという情報を得ていた。その危機を乗り越えるのは突貫工事をやるしかなかった、だから銭高常務には説明して、一旦融資を引き上げた、と。
銭高常務は高利の金に手をつけたから借入表を改ざんしたんじゃないかと、全て銭高さんに負わせる魂胆。汗をふきまくりの銭高さんを後から睨んでいる早苗。
父は続けます。むしろ大同銀行が阪神特殊製鋼を支援し続けたという豊満な経営がおかしかったのだ、それが事故を招いたと。「無念でなりません・・・。」役者だぁー。
憮然とした表情の三雲さん。
やったりの顔の頭取チーム。
被告席に戻った父をジーっと見つめる鉄平くん。
それに視線を合わせたのかどうか?北大路さんの視線はまっすぐ鉄平を見てるのかどうかがわからないんです。私だけかな?

<原告側証人・万俵鉄平>
被告側の蘇我弁護士からの質問。爆発事故は無謀な突貫工事のせい。高炉建設そのものを見直す必要があったのでは?
「確かに、事故の責任は痛感しています。ですが、今でも高炉建設が間違いだったとは思っておりません。」きっぱりと鉄平くん。
「資源のないこの国の企業が海外企業と闘っていくには優れらた製品を作るしかないのです。自分たちの作った鉄で、世界と肩を並べたい。我々はその夢を実現するために社員一丸となって技術開発の努力を重ね、ようやくアメリカ企業からも認められ、世界進出の土台を築きつつありました。でもその夢が、帝国製鉄の銑鉄供給停止によってつぶされようとしていたんです。同じ企業同士でこんなくだらないこをいつまで続ければいいんでしょうか。
我々の希望の芽をつまないためにもどうしても高炉建設が必要だった。そこには自分たちの技術で新しい可能性を切り開いていこうとする仲間の思いが託されているのです。
・・・・・それが間違いだったといわれるんだったら、我々はどうすればよかったのでしょう。企業の志を否定されるのが許されるのなら、この国に未来はあるんでしょうか。」
みんなうっとり〜。カッコいいったらありゃしない。これがカリスマ。
それをスパンと切る被告側。「理想を語るのは結構ですがあなたの発言は責任回避のための論理のすりかえにすぎません。自らの経営責任を認めるべきです。」
「ちょっと待ってください。」
「以上で終わります。」
鉄平くん、悔しい〜。
これで第1回は終わり、次回は被告側から大亀専務の証人申請がされていることが告げられたとき、倉石くんとアイコンタクトした鉄平は言います。
「裁判長!我々は阪神特殊製鋼銭高常務を申請します。」フォローする倉石くん。
銭高さんは万俵頭取を見て焦っていますが、すぐ採用決定となります。
次回、被告側は大亀専務だからしっかり固めてくる作戦です。でも銭高さんは「お断りします!」とけんもほろろ。
そりゃできるわけありませんとも。

<兄弟>
世論は阪神銀行に味方しています。阪神銀行と大同銀行の生え抜き派との密談は祝賀ムード。
三雲さんにお詫びする鉄平くん。
でも三雲さんは、心配より君にはやるべきことがある。この裁判で真実を明らかにし、再建し、君の技術や熱意を伝える。そうでなきゃ君を支援したことが報われない。こうなっても励ましてくれるんです。でもこの世論などの傾き方にはもっと大きな力が働いているような気がする、と三雲頭取。
そうです、自分の銀行があぶないのです、三雲さん。

大蔵大臣は阪神銀行が大同銀行を吸収することにGOを出し、頭取は銭高さんに甘い言葉を送り、根回しが進んでいます。

鉄平の部屋に銀平がやってきます。今日はお酒を飲んでません。
「兄さん、まだ諦めていないのですか。」
「当たり前じゃないか。銭高常務が本当のことを証言してくれたら風は変わる。」
「銭高常務が証言するなんで本気で思ってるんですか!裁判後の生活だってお父さんにゆだねてるんですよ?」
そんなことは鉄平だって百も承知。「僕は自分にでるだけのことをするだけだ。」とふっと笑ってみせるのです。
「どうして兄さんは、僕に証言を頼もうとしないんですか?」
「・・・・」ううんと首を振って、「お前には頼めない。本当にすまないな。」笑いながら立ち上がって。
「僕のことで家族みんなに迷惑をかけて。」窓際に立つ鉄平くん。
「でも、僕もお父さんの血を引いた子供だったらどんな兄弟だったんだろうな。」
「兄さん!」
「銀平、お母さんや二子たちのことはお前が守ってやってくれ。頼んだぞ。」
夕暮れのオレンジ色の光の中、優しい顔で微笑む鉄平くん。泣けてくるわー、本当に何も悪いことをしていない、まっすぐな鉄平なのに。

<万俵家の崩壊>
万俵家の晩餐は不穏な空気。
美馬と別居するつもりの一子。万樹子は出ていって戻らない。
「兄さんはすごい。こんな状況になっても家族のことを心配していましたよ。」と鉄平の話をする銀平。
子供たちはみんな鉄平くんの味方です。一子はお父さんのためにみんなが犠牲になったと言います。怒るお父さんにお母さんが自分の意見を。
「一子さんは間違ったことを言ってないと思います。」どんなお母さんだって子供達の幸せを一番に考えてるんです。
二子を励まし、鉄平を思うお母さん。涙が出る〜。
その頃鉄平くんは事務所でひとり思いにふけるのです。まだまだ、諦めてはいないのだー。

銭高さんの家に行って息子とキャッチボールしてる鉄平くん。そこに帰ってきた銭高さんは、もちろん頑なです。
「もう一度裁判のことを話したくて。銭高さん、もう一度考えなおしてください。」
「いい加減にしてください!私にも家族があるんですよ、この家庭がどうなってもいいと言うんですか?!」
「錢高さん!・・・・」
そりゃ気持ちは判るけど・・・。銭高さんの入っていった家を見つめ、今日のところは諦めるのでした。
安田家との関係修復を仰せつかった相子は万樹子の実家へ。でも相子の弱みを握っている万樹子は強気です。

<あの人も鉄鋼マンなんだ>
43年12月、第2回目の証人尋問の前日。
事務所のソファーで横になっている鉄平くん。この1ヶ月間何度も銭高家を訪れているけど会うこともできず眠れない日々が続いていた・・・。
ガバッと起き上がって額に握りこぶしを当てる鉄平くん。あぁ〜しっかり〜。
銭高宅のインターフォン越しに奥さんと話す鉄平くん。主人は戻っておりません、という奥さんに「お待ちしています。とお伝えいただけますか。」とだけ頼んで帰っていくのでした。
でも銭高さん宅には、大亀専務と銀平が訪ねてきていました。
念を押す大亀専務と、それでいいのかと言う銀平。銀平くん、もっとがんばれー。

暗い工場に入っていく鉄平くん。と、奥で機械の音が。
「四々彦くん?」
途中だった作業をやりに来ていたんです。鉄平くんに引けを取らない諦めの悪さです。
「なあ、しばらくマサチューセッツに行ってみる気ないか?」
自分が留学していた時に世話になった工場に行ってみないかと勧める鉄平くん。
話は銭高さんのことに。
「あの人はこの会社を見捨てたわけですか。」
「そう言うなよ、あの人の立場だったらうちの父には逆らえない。」
「けど!銭高さんがあんなことしなければ!」
「でもそのことで一番辛い思いをしてるのは銭高さんだよ。あの人だって犠牲者だ。一緒に闘いたかったはずだ。・・・僕たちがずーっと今まで技術開発に打ち込んでこられたのも、銭高さんが経理面でしっかり支えてくれていたおかげだ。高炉建設費用の調達も一緒に奔走してくれた。あの人だって鉄鋼マンなんだよ。」
銭高さんはこの会話を部屋の外で聞いていました。
「今は僕たちがふんばって、高炉建設や海内進出の土台をしっかり作れば、そして僕たちの夢を次の世代にちゃんとバトンタッチしなければな。」
「その専務の思いを銭高さんに伝えられれば!」
「だいじょうぶだよ、銭高さんはきっとわかってくれているはずだ。」
♪デスペラード・・・・。
今日もあってよかった、デスペラードのシーン。

深夜の高炉建設現場。ジープから降りて身体をジープに預ける鉄平くん。こういうところは木村さんなんだなー。

銭高さんは退職願いを持って行きながら鉄平の思いを聞いてしまって戻ってきたのです。今まであったいろんなこと、鉄平くんと一緒に頑張ってきた自分を思います。
でもそこで蘇る頭取の言葉。頭を抱える銭高さん。

<第2回証人尋問>
神社で会う早苗と芙紗子。同じ人を愛している者同士の絆がありました。
大亀さんの尋問はオンエアなく終わり、そして銭高さんは来ない。
もう少し待ってください、と言う倉石弁護士。
じりじりじり・・・・そして広報中央のドアが開き、銭高さんが!来てくれた!
立ち上がる鉄平くん。「銭高さん、ありがとうございます。」
「私っだって鉄鋼マンのはしくれですから。」
「はい。」うるうるになってる鉄平くん。ほっと安堵する鉄平チーム。一番嬉しがってるのは銀平のような。
でもいいの?手放しで喜んでて?

倉石弁護士からの質問は、阪神特殊製鋼から提出された虚偽の借り入れ表に関与したか?「それはあなたが単独で行ったものですか?」
「阪神銀行の人間から支持されました。」
「その人間とは誰か、お答えいただけますか?」
銭高さんを睨む頭取。
そんな頭取を正視することはなく、自分が信じる鉄平に視線を合わす銭高さん。
「万俵大介頭取です。」
じゃじゃ〜ん!!
『次週、最終章 90分スペシャル』
あぁぁぁ〜、鉄平くんにまだまだ悲劇が襲い掛かる・・・。宿命だなんて。何をシンクロしてんのよー。


第8回 「鉄平出生の真相」 (07/03/04)
<43年6月・本当の父親は>
手を叩いて将軍を呼ぶ鉄平くん。女将の衝撃の手紙に動揺している鉄平くんの気持ちが判る将軍だけど、励ましてはくれません。
まだDNA鑑定なんかない時代だったので血液型のみが頼り。かかりつけの病院で祖父の血液型を調べる鉄平くん。
鉄平はA型、母はO型。父はAB型、祖父はA型。じゃあ祖母はB型ね。
血液型だけでは本当の父は誰かわかりません。
人混みの中でひとりだけ反対向きに歩く鉄平くんが素敵です。

関係銀行が集まって阪神特殊製鋼の今後の支援についての話し合い、事故処理委員会が行われます。
財務調査で阪神銀行の追加融資20億が撤回されて返還していたということを始めて知る鉄平と三雲頭取。
「そんな馬鹿なことはありません!」鉄平くんに襲い掛かる苦難の数々。
融資の不足分は高利の資金を借りた銭高常務。阪神銀行の企みに加担した格好の銭高さんは、全部1人で背負うことで話がついてるんですね。
ずっと万俵頭取の顔を見てる銭高さん、三雲さんは悟ってるけど、まさか綿貫さんもが裏切ろうとしてるとは知らないでしょう。
綿貫専務の大袈裟なパフォーマンスが怖いです。
三雲さんも、イライラ。
鉄平くんは銭高さんがお父さんに取り込まれたことを理解したようです。お父さんを睨む鉄平くん。
綿「こんな会社見放すしかないじゃないですかっ。」
三「綿貫くん!」怒られても綿貫さんはふてぶてしくゆっくり座ります。あれは自信の芝居だったと鶴瓶さんがキラキラでゆってたな。
この会合中、父は一度も鉄平と目を合わせなかったのです。じっとお父さんを見つめる鉄平なのに。
会合のあと、残った鉄平、銭高、三雲。
鉄「どうしてなんですか、銭高さん・・・。」
三「あなたはずっと万俵頭取の顔色を伺っていた。」
でも銭高さんは、自分の一存でやったことと言い張ります。
三雲さんは冷静に、こうなった以上会社更生法の適用を覚悟しなければならないと鉄平に告げます。
でも何があっても支援すると、あくまで鉄平の味方である三雲さんでした。ありがとう。
三「君にはこの件の真実を明確にするという義務もあります。」
鉄「はい・・・。」

<万俵敬介ですよね>
一子はイライラしてます。バンって音をたてるなんて素敵。
父と美馬さんが阪神特殊製鋼の行く末の話しをするのを聞いて二子は憤慨。
「鉄平お兄さまの会社をどこかに売り払うおつもりなんですか?!でしたら、私は何のために・・・。」折角お兄さまの力になるために婚約したのに。
そこに拍手して現われる鉄平くん。
「最初から僕の会社を売るつもりだったんですね。だから追加融資もしなかった。意図的につぶすために。」
「馬鹿な憶測をやめろ。父親がどうして息子の会社をつぶすようなことをする。」
「お父さんが僕の本当の父親だったらそんなまねはしなかったはずです。小さい頃からずっと感じてたんです。僕はお父さんに愛されてないんじゃないかって。お父さんが銀平に向ける笑顔を、僕にも向けてほしかった。・・・・・小さいころから、ずっと・・・ずっとずっと、そう願ってました。」
ううう・・・・。
「僕の記憶の中にあなたの笑顔はありません。・・・・・・たった一度でいい。笑いかけてほしかった・・・。」
涙がぁーーー・・・。
「本当のことを教えてください。僕の父親は誰ですか。」
緊張する空気。え?鉄平お兄さまは何をおっしゃってるのぉー?ってみんなが寄ってきます。
「僕はもう覚悟はできています。・・・・・僕の本当の父親は・・・。」振り返ったらそこには肖像画が。
ぐっとこらえ、覚悟して。
「万俵敬介ですよね!」動揺する面々。
「だからお父さんは子供の頃から僕のことがうとましかったんです。だからおじいさんが一番大切にしていた阪神特殊製鋼をこの世からなくしたかったんじゃないですかっ!」
「黙れ!」そして、いつもの温情あふれる言い方で「お前は本気でそう思っているのか?」
無言で首を振る鉄平くん。「僕はもうあなたには騙されませんよ。」
お母さんだって黙っていられません。「やめてくださいっ鉄平さんっ!」
「おかあさん!辛いでしょうが本当のことを教えてください。」
「あなたは、私が生んだ子です。」
「僕が聞いているのは父親のことです!」
「あなたは私の子です!」
母の肩をつかむ鉄平くん。「お母さん、僕は今真実を知ることが必要なんです。でなきゃこの先どうしていいのかもわからない。このことでずーっと長い間苦しんできたお母さんだったら、僕の気持ちがわかるはずです。」
「いい加減にしろ!鉄平!」
「僕はお母さんに聞いてる!・・・僕は・・・お母さんと、おじいさんの間に生まれた子供なんですよね。」
お母さんだって判らないんです。だから泣くだけ。「許して、許してください、私を許してください、ごめんなさい鉄平さんっ・・・」
謝るということは認めるということ。
「やめろ!何を謝ってるんだ!」妻の頬を叩く夫。
「触るな!」睨むあう父と子。
「よくわかりました。僕はあまたを父親とは認めません。これで本気で闘えます。」
「闘うだと?」
「僕はあなたを訴えます。」
「お前が私を訴える?正気の沙汰か?何をもって訴えるというのだ。」
「あなたは阪神銀行の頭取であると同時に、阪神特殊製鋼の非常勤取締役であることをまさかお忘れではないでしょうね。その取締役が自社への背信行為を行ったんです。それによって被った損害に対してあなたは責任を持つべきだ!僕は裁判をおこして徹底的に戦います。」
父の頬が濡れているのが切ないのです。
お母さんを立たせて、ギッと父を憎悪の目で見て、「失礼します。」と早苗の手を引いて出ていきます。
残された父はいつもより弱い目になっているのです。
「はっはっはっ(笑)。やっとわかりましたね。このうちに取り付いている亡霊の正体が。」と銀平。

<決別>
この家にはもういられない。財産も全部事故のつぐないのために投げ出さなければならないし、これからの人生はそのための人生になる。
早苗に、そんな人生を送らせることはできないから太郎を連れて実家へ帰ってくれと言う鉄平。
「私は万俵鉄平の妻です!どんなひもじい生活でも、どんな人生でもあなたについていきますっ!あなたは何ひとつ間違ったことはしていません。堂々と胸を張ってください。」
いい奥さんだしー。ってそれはダンナさんがいいからなんだよ。
鉄平くんの手を取ってしっかりと包み、「私の気持ちはあなたと一緒ですよ。」
早苗を抱きしめる鉄平くん。「ありがとう・・・。」
うぇぇーん・・・。

二日後、家を出て行く鉄平一家。いったいどこへ。
池の淵で止まり、将軍を呼ぼうとしたけどやめてしまった鉄平くん。呼んでどうなるよ、ね。その向こうには大きな家が3軒。決別の時。

古くからの友人の倉石弁護士は萩原聖人さん!おぉー、本当に古くからの友人だわ。12年ぐらい前に一緒に死んだか死にそうになったかの仲ですもんね(笑)
お互い成長したわねー。
今のままでは裁判に勝てる見込みはない、と倉石くんからの厳しい言葉。
頭取が意図的に阪神特殊製鋼を倒産に追いやったという決定的な証拠がないのです。まずは財務資料を徹底的に洗うことから、だとアドバイスを受ける鉄平くん。
倉石くんが入れてくれたお茶を持つけど、熱いからフーフーしてる鉄平くん。鉄平くんは猫舌だからね。

総理役は役者がいなかったらしく顔は見えないことになっております。総理夫人も見えなかったし。

<証拠探し>
事務所で四々彦が段ボール箱を運んでくるシーンは、最初のほうで録ってたシーンですねー、NG大賞で出てましたから。こんなにあとからのシーンだったんですねー。
着々と進む合併への裏工作に銀平は苦悩の表情。
一之瀬親子と一緒に帳簿の山を調べる鉄平くん。あんまり得意そうじゃないんだけどね。
そこで錢高と書いた箱の底に隠すように置いてあった帳簿がありました。四々彦が「なんだ借入表か。」と放り出したのが気になった鉄平くん。手にとります。
「何でこれがこんなところに?」
めくってみると、1月10日に阪神銀行、13日に大同銀行から20億づつの借り入れがあり、1月31日に阪神銀行に返還されていた、という記載が。
これだ!!鉄平くんは見つけたんです。
「ありましたよ、決定的証拠が。」
阪神特殊製鋼での役員会で、会社更生法の申請と阪神銀行に対する民事提訴を決定しました。銭高さん以外みんな賛成してるってのは鉄平のみつけた証拠のおかげでしょうか。

<提訴>
倉石くんは親友として最後に鉄平に確かめます。親子が争うということは世間の好奇の目にさらされ、家族までが辛い思いをする。
「誰かが万俵大介と闘わなければ、家族は誰も自由になれない。」
“やるしかないんだ”という代わりに、ふっと唇の端を上げたのが、好きです。

鉄平が民事提訴したことを聞いた万俵頭取は銭高さんに念押しします。それを見ている銀平はやりきれない気持ち。
夜鉄平を訪ねていく銀平。しらふでは会えないのでしょう、片手に酒瓶を持ってるなんてアル中のようです。
いつも強い兄さんが羨ましかった、兄さんならお父さんに勝てると思っていた。そしたら一子も二子もお母さんもお父さんから開放されると思っていた。「なのに・・・なぜ爆発事故なんか起こしたんだ!」
そんなこと言われても・・・。
「僕はまだ負けてない。」しっかり弟を抱く兄さん。「勝ってみせる。」

夕暮れの高炉建設現場。これからの闘いの決意を胸に、ゆっくりと息を吐き出す鉄平くん。

<43年10月>
裁判が始まります。第1回証人尋問。
傍聴席のオールキャストが次々と映し出され。
先に席についていた鉄平くんの目の前に現われた父。今日は父はまっすぐ鉄平を見てるのでしょうか。
「そして、僕と父の、法廷での闘いが始まった。」

第7回 「悲劇の高炉爆発」 (07/02/25)
<43年5月>
高炉建設まであと1ヶ月。
工事も軌道に乗ってきたのでお休みの日に久々におうちにいる鉄平くん。
太郎くんのホッペつまんで「丸書いてぶんっ!」ってカワイイお父さんっ♪
そんな時に芙紗子から電話がありました。女将が会いたいと言っていると。
お見舞いに行った鉄平に女将は聞きます。「大介さんとはうまく行ってますか?いつか衝突する日が来るんじゃないかと敬介さんが心配していました。」
でも鉄平は特に心配ではなく、高炉建設が頓挫しかかった時には融資もしてくれたと。
それを聞いて「よかったぁー」と安心の女将でした。

芙紗子が女将は今度手術するけどもう助からないかもしれないと言います。今までは1人が怖くなったけど、いざ女将がいなくなると、と弱気。
昔鉄平くんが『僕の作る鉄で誰かを幸せにできたらいい』と言ってたと思い出話。幸せだったのね、その頃は。
去年のお正月志摩のホテルに行ってたのは心のどこかで鉄平に会えることを期待してた。幸せそうにしてるのを見たら区切りをつけられると思ってたけど、と言う芙紗子。
「てっちゃんに何度も会ううちにやっぱり・・・あたし・・・」
そんなことコクられても鉄平には暖かい家庭があるのです。
「ごめん、ふっこ。僕は父のようには生きられない。」ふたりの人を愛せない・・ってことなのですね。どこまでも真っ直ぐな人ですから。
「じゃあ。」と言って去って行く背中。あぁー、愛人でもいいのにー!と芙紗子の気持ちが判るわー。あの背中にすがりつきたい・・・。
話してる途中、ベンチの座り方が木村でした。腰から先に座る感じ。
今日のデスペラードはここでした。

<父の本音>
いよいよ高炉建設も近づき、アメリカの取引会社もベアリング社からGM社移すことになり、順調です。三雲さんも喜んでくれます。
新聞の取材なんかも入ってきて三雲さんとの写真を求められると、そばにいた玄さんたちも写真に入れと誘って、みんなでにこやかに写った写真が、堂々と業界新聞の一面を飾りました。
大同銀行生え抜きの綿貫さんは、万俵頭取からアプローチせられていたけど、順風満帆な阪神特殊製鋼の記事を見て怒ります。「話が違うじゃないですか!」
銀平は「どうやらお父さんの負けのようですね。」

お母様が高炉完成前祝と、鉄平と早苗を食事に招きます。二子も鉄平お兄さまのために総理の甥とお見合いしたけど、もう断っても大丈夫な感じで明るいです。
今日は相子さんの負けー。
そんな時にやっぱり不幸はやってきて、万樹子が酔っ払ってそして流産。
それを聞いて激怒するお父さん。
銀平に「なんてことをしてくれたんだ!万俵家の後を継ぐべき銀平の子が!」ひどいなー。
銀「お父さんには鉄平兄さんがいるじゃないですか。」
父「私にとっては息子はお前ひとりだ。」
母「何てことをおっしゃるんですっ!」
父「鉄平はいつも私の邪魔をする。鉄平といると爺さんを見てるようでおぞましい。いっそ私の前から消えてほしいと思ういことがある。だがな・・・」
振り返った瞬間そこには鉄平くんが。
無言で立ちすくむ鉄平の目の前を、無言で通り過ぎる父。
万樹子「いったいこの家は何なんです!?」本当に。
悲しい目の鉄平くん。

36年前、何があったのか。父の心の中にはずっとわだかまりがある。でも寧子本人もわからないのでしょうか。
「鉄平さえ生まれなければ私もお前も違った人生を生きていただろうな。」
無表情の寧子さんが何を思ってるかわからず、怖いよ。

<爆発>
庭のベンチで夜景を見つめる鉄平くん。早苗に言うともなく。
「小さい頃からなんとなく感じてはいたけど、お父さんは本当に僕のことをあんなふうに思ってたんだな。」
早苗は静かに鉄平の隣に座って言います。
「あなたにはたくさんのお仲間がいます。太郎もお母様も二子さんもみんなあなたが大好きです。」
鉄平の手に手を重ねて。
「私はあなたのことを誇りに思っていますよ。今は夢を完成することだけを考えましょう。」いい奥さんだわ。
「銀平さんが一度近くで見てきたほうがいいって私に言うのよ。完成したら私も連れていってね。」
立ち上がって工場の煙をみつめながら、「ありがとう早苗。」

そして家のほうに戻ろうと早苗の肩を抱いて歩きだしたとき、ドン!と遠くで響く音が。
一瞬肩をすくめて、振り返る鉄平くんの目に映った悪夢!
走り出す鉄平。

現場の惨憺たる状況に声もなく見つめる鉄平。怪我人がうめき、救急車、消防車がひっきりなしに走る。
「ウソだろ・・・。」

家から銀平は絶望してうめく。そんなに期待していたのね、お兄さんに。
父は「天は我に味方したか・・・。」そんなぁー!

現場で火をよけながら走る鉄平くんの目前には火だるまの人びとが。
建物の2階にいた玄さんが鉄平を見つけて声をかけます。
「若!こんなもんで高炉建設諦めたらあかんで!わかったな!」
「・・・・。」
「わかー!だいじょぶや!ここはわいに、まかしとき!」
うん、ありがとう!僕がんばるっ!って思って走り出したとき、玄さんのいる棟が吹っ飛んで爆風にもんどりうって倒れる鉄平くん。
「玄さんっ!!」あぅ・・・・。

<爆発のあと>
記者会見でお詫びをする鉄平くん。実際こんな若くて素敵な人が責任者としてニュースで頭を下げてたら、見惚れるなー。
2日後、試写5名、怪我人数百人と言う大惨事となり、一睡もせずに対応に追われている鉄平くん。
3日後、やっと父のもとを訪れるのですが。
淡々と仕事をしている父のデスクの前へ行き、「このような事態になってしまい大変申し訳ありませんでした。」と頭を下げますが、顔もあげない父。
「いろいろと御協力をお願いすることもでてくるかもしれませんがよろしくお願いします。」
冷たい父に精一杯の言葉だったのに・・・。悲しいよー。

1ヶ月の業務停止となり無理な突貫工事が原因じゃないかと言われる阪神特殊製鋼。
結局鉄平お兄さまの力になるために佐橋総理の甥と結婚することを決めた二子は、四々彦に別れを告げます。ウソをつく二子だけど、判ってあげなさいよー、四々彦くん。

玄さんの家で御焼香をする鉄平くん。
遺影を見つめて、玄さん・・・・。

<本当の父親は?>
芙紗子は女将から、本当の両親は自分と万俵敬介だと聞きます。
この時点では、鉄平とは腹違いのおばと甥という関係だと思ってるけども。

静かな高炉建設現場。連れて行ってねと言ってた早苗をこういう形で連れてくることになるなんて、なんて悲しいんでしょう。
「僕は、彼らのためにも、僕は絶対に諦めない。高炉は必ず完成させる。」鉄平くんはあくまで強いのです。
窮地に立たされた阪神特殊製鋼。銀平は怒ります。「お父さんのせいで突貫工事に追い込まれたんだ、この事故はお父さんが起こしたようなものでしょう!」
そんな言葉に動じるお父さんではありません。
こうなったら綿貫さんも行動に出ます。大同銀行の極秘資料を持参し、見返りに念書(名刺の裏にお礼の一言だけ書いてるようなやつ)を受け取ります。

事故後、たぶん初めてゆっくり子供の寝顔を見てるという感じで穏やかに過ごしているとまた事件が鉄平くんに降りかかるんです。
いきなり芙紗子が神戸に来ます。女将が死んだその足で東京からやって来たって感じ。女将から預かった鉄平あての手紙を持って。

『芙紗子の父が万俵敬介だ』という書き出しで驚いた鉄平くん。でもここで驚いていてはまだ早いのです。
手紙の内容は。
『敬介さんが、大介と鉄平が闘う日が来るかもしれないと心配していた、その時は鉄平に自分の信じる道を貫けと言ってほしい。
何故そんなことをおっしゃったのか。私は判ります。それは鉄平さんの本当の父親が・・・・』

「ウソだっ!!」
鉄平くん、持っていた手紙をバンっとぶつけるようにして立ち上がる。早苗や芙紗子を見る目はおどおどして、挙動不審の小動物のよう。
芙紗子だって、その時はじめて知ったんだろうけど、もう驚いちゃいられないんでしょうか。
鉄平くん、しっかりー!

 

第6回 「万俵家の崩壊」 (07/02/18)
<昭和43年1月2日>
シカゴのベアリングが契約打ち切りなんて。
「こっちには契約書があるんですから!」とアメリカに行くという鉄平くんんですが、それは無駄だと言われます。なにせ買収されちゃったんですから。

<1月4日>
街頭の新聞スタンド(屋台)で売っている新聞を買い、ベアリング社の買収と阪神特殊製鋼の株価大幅値下がりの記事を見て、歯を喰いしばる鉄平くん。
ここは意を決して正月に誤射して怪我をさせたお父さんのところに行くしかないのでした。
緊張の面持ちで頭取室に入る鉄平くん。
額のバンソウコウが痛々しいお父さん、そんなに睨まないでー。
「このような事態になってしまい申し訳ありません。」頭を下げる鉄平くんですが、こういうことはまっさきにメインバンクに報告すべきだろう、追加融資の件は考えさせてもらおう、と邪険なお父さん。

<父の策略>
三雲頭取がお父さんと会ってみようと言ってくれます。
メインバンクと阪神特殊製鋼の関係悪化は大同銀行にも影響を与えるからです。
でも三雲さんは、鉄平くんを助けるのが目的。息子につらく当たるお父さんの真意を確かめたかったのかもしれません。
鉄平くんNa.「この三雲頭取と父との会談から、僕と父との悲劇は一気に加速したのであった。』
どんどんつらくなるのねん・・・。
父と三雲頭取の話は
「三雲さんはなぜそこまで鉄平を応援してくれるのですか?」
「鉄平くんには強い意思と才能、リーダーの資質があります。鉄平くんの可能性に賭けているのです。」
賭けるなどという銀行家らしくない発言に驚く根っからの銀行家。
でも三雲さんは「鉄平くんにはそれだけの価値があるということです。」きっぱりと言う三雲さんを見つめる頭取。怖いよぉー。
そのとき父の頭の中では、小が大を喰う合併のターゲットが見えたのでした。
いきなり態度豹変、阪神銀行は20億の追加融資を考えている。あなたも息子を見放さないでおいてほしい・・・と深々と頭を下げるのでした。
あぁ、三雲さんは騙されるのだー。
大川お義父さんの記事のリークは芥川東京支店長が責任をとって飛ばされることになりました。
でもあれは頭取の指示だったという会話に、驚く銀平。
「お父さんはやってないって言ったじゃないですか!」銀平だって本当は素直ないいコなんです。

鉄平と早苗に会って直接謝るお父さん。
鉄平くんは芥川支店長を解雇したと聞き複雑。20億の追加融資をする、親子のわだかまりは水に流してほしいと言うお父さん。
「お父さんにそこまでおっしゃっていただけるとは。僕も少し感情的になりすぎたのかもしれません。」
おっとりお母さんも大喜び。「よあった。これで仲直りというわけですね。」
でも父を睨む鉄平。そんな、いきなりおかしいじゃないかー?

<1月9日>
大同銀行の生え抜き派と日銀派の対立を調べて、大同銀行の綿貫専務をとりこもうと画策する大介たち。

<1月10日>
錢高常務が現場の鉄平くんのところにすっ飛んできました。「阪神銀行から20億の融資が入りました!」
ええ?いぶかしげな鉄平くん。
「いや、こんなに入金が早いなんて・・・。」

<1月11日>
不審に思いながらも入金があったのは事実なので、早速三雲頭取のところに行く鉄平くん。
三雲頭取に阪神銀行からの20億の入金を報告し、大同銀行から2日後に20億の入金を受ける約束をとりつけたのでした。
そして気になっていた鶴乃屋の女将が入院してる病院へ。
ふと目覚めた女将は、逆光の中に立つ鉄平くんに向かって「啓介さん・・・」と。
「ごめんなさい、あんまり似てたから・・・。」

帰りに芙佐子に言う鉄平くん。「僕にできることがあったら何でも頼ってくれないか、な、ふっこ。」
「そんなに優しくしないで・・・てっちゃん。」
あぁー罪なヤツ・・・。
一方、父は綿貫専務を接待中。大亀専務って本当になりきりね。
合併に一番大事なものはポストだと言う綿貫さんの言葉に我が意を得たり、と大介。

<阪神特殊製鋼包囲網>
いつもの食堂で、二子と四々彦とお食事中の鉄平くん。自分に押し付けられようとしている見合いの相手が佐橋総理の甥で帝国製鉄の社員だっていう二子の話も耳に入っていません。
父の変わりように不安なのでした。
「うちの父親が追加融資に応じてくれたのが信じられなくて。」
その心配は当たってるのに。

そこに銭高常務がやってきて鉄平くんに耳打ち。
「専務、大川先生が亡くなって最も恐れたことが起こりました。」耳うちだったけど、食堂中の空気が固まったのでした。
即出て行く鉄平くん。

帝国製鉄にかけつけて問いただす鉄平くん。
「どういうことですか?和島さんは当社につぶれろとでもおっしゃるんですか?!」
和島所長は、6月までの銑鉄供給の契約が終わったら契約は更新しない、と言ってるだけ、としゃあしゃあと。
それなら第一製鉄にお願いを、と言う銭高の言葉を聞き、第一製鉄も6月いっぱいで銑鉄の供給を打ち切るはずだと言う和島所長。
父が画策したなんて思いもしないことでしょう。

現場に戻って歩く鉄平くんと銭高さん。
「銑鉄供給が終わったらうちはつぶれるんですよ!専務!」
「夢はつぶさない・・・夢はつぶさない。」
自分に言い聞かせるように。

<人命救助>
現場事務所に入ろうとしたとき岸壁の堤防でたむろして休憩中の玄さんたちに目が留まった鉄平くん。つかつかつかと玄さんに歩み寄ります。
何をー?!やるかー?と戦闘体勢の玄さんの腕をつかんで、いやいや、そうじゃなくて。
「高炉現場の作業員を増やしたいんだが、つてないかな?」
今はどこも人で不足で無理だという話。そこに、船上作業員が海に流されたという報告が。
岸壁に駆けつけ目を凝らして海を見ていると、あ、いた!
さっと上着を脱ごうとする鉄平くんを「無理です!専務!」とみんなでとめるけど、社員達をふりほどいて飛び込む鉄平くん!
なんて美しい泳ぎ方。すてきー!服を着たままそんなに華麗に泳げるのかしら。まるで美しい人魚に見えました。

父たちが大同銀行を飲み込む話をしてるとき、酔っ払った銀平が入ってきます。
「三雲頭取は兄さんの恩人ですよ?」
高炉建設が大同銀行のアキレス腱となった。
阪神特殊製鋼をつぶすという父の魂胆があらわになります。

そんなことはつゆ知らず海の中で作業員を見つけ助ける鉄平くん。

銀平は父に向かって意見するのです。「世界有数のメーカーに発展する会社をなぜ?」
「おとうさん、あなたって人は兄さんをどれだけ苦しめたら・・・」でも何を言っても無駄だと悟り出ていく銀平。
その銀平に向かって父は言います。「阪神銀行は大同銀行を飲み込む。それが生き残る唯一の道であり後を継ぐお前のためでもあるのだ。」

岸壁に引き上げられ、心臓マッサージで息を吹き返した作業員。よかったぁ、人工呼吸をしなくて(笑)。
作業員は運んでいかれ、鉄平くんは肩で息。お疲れさまー。

<兄弟>
銀平は子供ができたと喜ぶ万樹子に「おろしてくれ。」と。万俵家の人間がまた増えるのが我慢ならないです。
そのまま夜の街に出ていきます。あの家から街までふらっと出て行くのって大変だろうなー。

きれいに着替えてデスクにいた鉄平くんに玄さんがお礼を言いにきます。
うちのもんの命を助けていただいて・・・と慣れない言葉遣いにひゃっはっはっはって大笑いする鉄平くん。
お礼に一杯、という玄さんだけど、6月中に高炉を完成させないといけないので人を集めにいくという鉄平くん。
「そんなに困ってるんか。ほうか、がんばりや、若。」
「若?」
いいわー『若』って。

建設作業員集めに夜の街を奔走する鉄平。建設会社の事務所で頭を下げる鉄平を通りかかった酔っ払い銀平が見つけます。
銑鉄の供給が止まるまでに高炉を完成させるという鉄平に、呆れる銀平。
「あっはっはっはっは!どうしてそんなに兄さんはそんな風に生きられるんですか?お父さんに歯向かったと思ったら今度は帝国製鉄。相手が強すぎますよ。」
「どんな強い相手でもわずかでも望みがあるうちは諦めるつもりはない。それよりお前はどうすんだ。このままお父さんたちの言うとおりに生きて・・・」
「よしてくださいよ、僕は兄さんみたいに強くない・・・・。」
「・・・ま、落ち着いたら今度ゆっくり飲もう。だいじょぶか?」銀平の顔を下から覗きこんで腕をポンと叩いた兄さん。
あー、優しいなー。こんな人本当にいないよなー。

<突貫工事>
1月10日に阪神銀行から入金された20億は31日には一時返金されていました。銭高常務は騙されたわけです。
頭取は言います。あれはもう戻さない。あれは見せ金だ。
20億が使えない・・・そんな・・・、突貫工事をやるのに・・・と銭高さん。
聞いていた銀平はニヤっとします。「お父さんのアキレス腱は兄さんになったということです。高炉が完成したら、お父さんの負けだ。」
しかし人手不足は深刻な状況だから建つはずはないと言ってみるものの父は鉄平だったらやるかもしれないと思ったに違いありません。新たな手を打ってくるんでしょう。

2月中旬。まだまだ作業員集めに奔走する鉄平と一之瀬さん。

そんな厳しい状況であることをわざわざ銀平を頭取室に呼んで伝える父。
そんな父に銀平ははっきり言うのです。
「お父さんには信念がない。策謀だけだ。お父さんは兄さんに負けます。信念を持って行動する兄さん。それに人はついてくるんです。
おじいさんが言ってたじゃないですか。理想と信念を持つ人間が策謀だけの人間に負けるはずはない。」

3月1日、突貫工事の開始日。
100人しか集まらなかったので、もう今日はここで帰っていただく、という銭高常務。でも最後に可能性のある業者からの連絡を待つ鉄平くん。
四々彦が知らせを持ってきます。「専務ー!」
四々彦が車から降りて近づく間、ぶつぶつと口でお願いを唱える鉄平くん。
でも知らせは最悪でした。しかたない、作業員を帰します。銭高さんは無下に宣言して今日のところは帰ってください。と作業員たちに告げます。
銭高さんはもう阪神銀行に取り込まれているのでしょう。
心配そうな四々彦。「専務・・・」
鉄平くんは首を振って・・・「諦めない。」
そう言って1人で歩いて行くと、向こうからざっざっざっざっと音が?
走っていくと向こうから玄さんが何百人という作業員を引き連れて歩いてくるではないですか!
「わかー!連れてきたぜー!」
うんうん・・・うなずきながら涙いっぱいの鉄平くん。力強く宣言します。
「当社はこれより、突貫工事に突入する!」
笑って、玄さんに向かって『お前!やるじゃねぇか!』という風に、指をぐっと差して迎えに行きます。よかったねー。
最後のシーンのBGはデスペラードでした。じーん・・・。


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