LoveStory

最終話「大切なもの」 01/06/24
好きと言ったけどあっさりふられた美咲。
思いを残しながらも、あっさりふった永瀬。

美咲さんがイラスト原稿を取りに来た。彼女、デスクワークに回されたと池谷に聞いてたけど、何かやっぱり前みたく元気がないような気がした。
永瀬さんがそのことを知ってるのか聞くと、知ってるか知らないか知らないとか言うし、なんか無理してるように見えた。丁度永瀬さんのコーヒーが入ったところだったので、美咲さんにそれを持って行かせた。
担当をはずれて二人の間に変に溝ができてしまうのは何だか悲しいな。オレってこんなにお節介じゃなかったのになぁ。でも最近自分が優しくなれてるような気がするんだよな。ちょっとガラじゃないけど。

この朝は一人だったの?鍋友くん。ベッドの膨らみがちょっと気になったけど。
ドアを開けると美咲がいて飛び上がって驚く永瀬さん、らぶ!

香乃ちゃんからの手紙が永瀬さんのところに迷い込んでいてそれを永瀬さんが持って来てくれた。
2,3日前に来たらしい。
美咲さんも話に首をつっこんでくるから、「人の恋愛で遊ばないでください。」と言ったら、美咲さんはえらく力説し出した。
「両想いの恋は成就すべきです。自分が好きな人が自分を好きなんて奇跡です。」
ちょっとその言葉にグッと来たかな。でも彼女はやっぱり自分の話をし出した。
永瀬さんにふられたと言う美咲さん。全くおかしな二人だ。はたからきいてるとなんとかしてあげたくなっちゃうんだ。

「あんたたちおかしいよ。ふたりして避けてる気がします。」
「お互いを?」その言葉が揃っていたのが妙におかしかったけど。
「そうじゃなくて。恋という奇跡を。恋愛関係になるのを。いつまでも子供でいたい大人みたいです。」
そしたら二人は変なところで結束しちゃって、
「難しいこと言うよな。鍋友のくせになぁ。」
「いい加減に言ってるだけだよ。」
せっかく言ってやってんのに!何なんだよ!ぷんすか!

美咲さんが帰っても永瀬さんはまだいろいろ言ってくれる。
香乃ちゃんに会いに行けとうるさい。
オレのことはいいっつってんのに。
どうして美咲さんふったんだろう。彼女仕事うまくいかなくて会社やめるかもしれない、ということも永瀬さんは知らなかった。
「ふたりは仲良くなりすぎたんだよ、ことばでね。だから今さらハイキスしましょうとかハイ寝ましょうとか言ってもねぇ。」
もう一回なんでふったのか聞いた。
「俺は恋愛するつもりはない。」
「恋愛ってつもりでするの?気持ちでするんでしょ。好きだったら好きでしょ!」
「好きだったらそこからつきあいがはじまる。そんなつきあいに責任がもてない。」
「めんどくさぁ〜。そんな先まで考えて楽しいんですか。」
「そんなに先じゃない。1歩先だ。第一君と僕は違うんだ。君は香乃ちゃんを迎えにいくべきだ。君の心は元気で、傷ついていない。」
「じゃ永瀬さんの心は?」
「それは、秘密です。」
永瀬さんの心は傷つきすぎてもう恋愛なんかできないとでも言うのだろうか。そんなことありえない!

一人になって香乃ちゃんの手紙を何度も何度も読み返した。『ごめん、最後の最後にごめん。最後にプライド高くて、見え張って、こわがりでごめん。あなたに飛び込むのが恐くなってごめん・・・・・。』
オレの状況は何にも変わっていないけど、公園でケンカ別れしたままだけど、だけど、香乃ちゃんを迎えに行かないと!今行かないと一生後悔するかもしれない!オレは飛び出した。
香乃ちゃんは花屋はやめていたし、サンセットカフェの友達も何も聞いてないって言った。どこにいったんだ?!
永瀬さんが来て「どうした?」と。
「香乃ちゃんがいなくなりました。」

永瀬さんに言われて彼女の実家に電話した。あの真面目なお兄さんが出るかもしれないし、ちょっといきなり電話するのは心の準備が・・・。
呼び出し音2回くらいで切ろうとしたら永瀬さんにこづかれて、あ!出た!
「小林さんのお宅ですか。鍋友と申しますが香乃さんはいますか。」
あの真面目な兄さんがつっけんどんに「いません」と言ったのでさっさと切ろうとしたらん永瀬さんが邪魔をする。
「そんなに聞きたきゃ永瀬さんが・・・」
「自分で聞くんだ。」
受話器を耳に当てるともう切れてた。
「もう一度かけるんだ。勇気を出すんだ。足がすくんでも飛び込むんだよ。でなきゃ結局何も手にはいらない。健闘を祈る。」
人のことだと言うんだよなぁ。

で、結局オレは頑張った。
40分も話した。しつこいと言われようが、もう決めたんだ。
「何をどうしたら信用してもらえますかね。」
そしたら兄さんは言った。その白い髪を黒くして、だらしないかっこうをどうにかして、定職についてそれを証明するものをうちに送れ、と。
なんてこった・・・・でも決めたんだ。
「わかりました、そうしたらオレと香乃ちゃんのことを許してもらえるんですね。」
兄さんは自分が理不尽なことを言ったくせに、君はそれでも男か?プライドを持ってそうしてるんだろ?男たるものそうそう自分を曲げるものではない、と言う。
でも今のオレはなんと言われても大丈夫だ。「僕は自分の何かを曲げてでも、プライドを捨ててでも、香乃ちゃんが必要なんです。そして彼女も僕を待ってててくれる。」
「私は悪役か。」
「それくらい自覚してください。そうです。」
そしたら兄さんは教えてくれた。「あいつは今フラワーアレンジメントの学校に通っている。」
そしてオレは走った。走って走って自転車で探した。香乃ちゃんの手紙の台詞を反芻しながら。
そして学校の前で待っていると香乃ちゃんが出てきた。

オレを見つけて小走りに寄ってきた香乃ちゃん。
「何で。」
「え?」
「迎えに来てって言っといて、何で花屋さんやめちゃうの?」
「だってすぐ来てくれないんだもん。」
「すぐって2日、3日でしょ。」
香乃ちゃんはオレのバフをバッグから取り出してオレの首にそっと巻いた。
「探した?怒った?」
「いや。」
「嫌いになった?」
「・・・・好きだよ。」
彼女は抱きついて来た。幸せがそこにあった。あったかかった。

永瀬は美咲に「君は人の心を動かすことができる。作家を育てることができる。君が仕事を続ければまた誰かが書き始めるかもしれない。」と言った。でもそうではなくて、美咲は相手が先生だったから心を動かすことができたのだ。
今日の美咲はまともなこと言ってるよ(笑)。
マヨネーズ味のせんべい。それは鍋友に味見させろよねぇ!
ユースケ!「眠れる森」を思い出しちゃった。またまたイイ役やってんじゃない!ユースケ!
こんな弱気の時に、あんなイイヤツに優しくされたら結婚しちゃおって気になるかもね。

クミコは永瀬を好きだといいつつ、別れていく。自分からも姉さんからも自由にしてあげる。
戸田菜穂ってこんな役ばっか。可哀相になってくるわ。
美咲はもう少し東京で頑張ることにしたが契約社員の悲哀、リストラが決まってしまう。
永瀬は新しく小説を書き始める。

オレはバーベキューパーティーを企画した。オレはうまくいったから、幸せをみんなに分けてあげたくて。特に永瀬さんにはね。
みんなに挨拶をするもの照れちゃったけど、「いろいろ御心配かけましたが、オレと香乃ちゃんは、おかげさまで、なんちゅうかね♪」
「ね♪」
というわけで乾杯!

大五郎ヘアででかわいい慎吾!

美咲さんは明日田舎に帰っちゃうらしい。
「永瀬さん、いいんですか?」
「いいも悪いもないだろう。俺には関係ない。」
とりつく島もありゃしないよ、まったく。

夜、キャンプファイヤーの周りにみんなで座って、永瀬さんが新作の話をしてくれた。
RLー21、ROBOT LOVER・・・。ちょっとA.I.をほうふつさせる内容で、A.I.を絶対見たいと思ってるオレの心にしみ込んでいった。

翌日帰るときに車の中で永瀬さんに聞いた。「ゆうべのロボットの話は美咲さんと永瀬さんの話なんでしょ?みんな気づいてましたよ。」
そしてユミちゃんからもらっていた美咲さんが帰る便を書いたメモを渡した。
ちらっと見た永瀬さんは捨てようとしたので、「捨てないで!」と叫んだ。
「行かなくていいから、捨てないでください。オレやユミちゃんや池谷くんやみんなの気持ちなんだから。」
持っててくれれば何かの風の吹き回しってこともあるだろうし・・・。

で、おぼっちゃまは外車(笑)でもボロ?

マンションに帰ってそれぞれの部屋に戻る。
「じゃあ」とそっけなく部屋に入る永瀬さん。まったく強情な人だなぁ。
部屋に戻ってこれが最後のチャンスだと思った。「アルハンブラの思い出」・・・またギターで弾けば永瀬さんが心を柔らかくしてくれるかもしれない。原稿がなくなった騒ぎがあって、美咲さんが必死で探してくれて見つかった永瀬さんが書いた「アルハンブラの思い出」。
しばらくしてドンドンとドアを叩く音が。え?まさか?
ドアを開けると「車を出してくれ!」と血相変えた永瀬さんがいた。
オレのアルハンブラがきいたんだろうか。ま、とにかく永瀬さんを無事に羽田まで送り届けた。うまくいくといいけどなと思いながら、いつのまにか車の中で寝てしまっていた。
どれくらいたっただろう。
ふと起きると、向こうから永瀬さんと美咲さんが歩いて来る。
二人の雰囲気が変わっていた。そうか!やったんだぁー!ドラマみたいな展開だ!
永瀬さん、やるじゃんか!イェーイ!!

最後のキスもよかったなぁー!顎をクイっと持ち上げたのが。
ものすごくチャーミングでした。永瀬さんと鍋友くん!
でもどっちのカップルもあまり長く続きそうに思えないのは何でかしら?
やっぱり男二人でつるんでいて欲しいなっていう願望ですかね(笑)

第10話「別れ」 01/06/17
傷心のオレだけど、仕事しなきゃ。永瀬さんに言われたからじゃないけど。
夜頑張って描いてたら、永瀬さんが来て、酒をくれと言った。一人で部屋で飲んでるみたいだった。珍しいこともあるもんだな、何があったんだろうか。夜中に誰か訪ねて来たみたいだったし。
で、翌朝、できたイラストを永瀬さんに見せに行ったんだ。いつも小説ができたら時間なんて関係なくやって来る永瀬さんへの仕返しだ。
ドアを開けたときふと部屋の中を見たら人影が見えた。そうか、そうだったんだ。
オレは陽気に「ハロ〜!!」って言って、永瀬さんの肩をたたいてさっさと退散することにした。
永瀬さんは「違うんだ」って叫んでたけど、いやいや、がんばれよぉ永瀬さん!

クミコさんの「違うんだ。あたし違うんだ」っていたずらっぽく笑うのが、ちょっとキャラちがう。
永瀬は花屋で働く香乃ちゃんに会う。

サンセットカフェに行くと、美咲さんユミさん、池谷が揃っていた、永瀬さんを待ってたのかな。
元気そうだねって言われたけど「カラ元気」と答えた。
「何で?」
「振られたてだから。」
香乃ちゃんは今頃新婚生活だろうって言うと、池谷のヤツ、エプロン似合うんだろうななんて人の傷口に塩塗りやがって。
美咲さんが街で香乃ちゃんにそっくりな人を見たけど本人じゃなかったかと言ったそのときに、入口のところに現れたのがなんと香乃ちゃん。
おれは絶句。
「な・・・どうして?茨城帰ったんじゃなかったの?」
「ガギ?!」
なんなんだ、いったい。そんなに可愛い顔して!なんで東京にいるんだよ!
オレは彼女の手を引っ張って行った。

「ガギ?」っていうのは北川さんの2歳の子供がよく発する意味不明ことばだって。

公園に連れ出して話をした。
「んで?何で東京にいるの?」
「ガギ?」
「・・・それはもうわかったから。」
「ごめん。」
「花屋で働いてんの?」
「フラワーアレンジメントとか習って、花嫁さんのブーケとか作る人になりたいの。」
「あ、そう。」
「あ、そうって、応援してくれないの?」
「あの、聞きますけど、何をどうしたら応援できんの?何であんなウソの置き手紙を残したの?」
「ああして書いたら、私のこと迎えに来てくれるかなって思って。」
「なんでそんなことするの。オレを試したの?」
「だって信じられないんだもん。鍋友さん女の人と遊びまくって信用できないんだもん。」
「あそう。じゃぁ何だったの。オレが茨城まで会いに行ったのは何だったの?」
「そのときは、そうなのかな、私のこと好きなのかなって嬉しいけど、でもわかんないじゃん本当のことは。」
「オレとしては結構精一杯、がんばったんですけど。」
「まだ足りない!」
「じゃオレじゃないんじゃないの。もっと安心できる人がいるよ。」
「そうかもね!」

何なんだよ!いったい!オレはどうすりゃいいんだよ。今まであっちから来てくれることばっかだったから
こんなの初めての経験でわかんないよ!オレって振り回されてる?
でもこのまま別れちゃうのはもったいないよなぁ、香乃ちゃんかわいいしなぁ・・・。

永瀬と美咲は仲直り。だけどお別れ。
先生は私にとって指針だった、空の星だった。
「言葉が出てこない」と言ってる永瀬さん、いい!
こんな切ない雰囲気、ロンバケで南が部屋を出ていった時のこと思い出すねぇー。
永瀬さんがタバコをくわえてぼんやり座ってたところは、柊二がタクミとモデル探しをしてたアニヴェルセル前!
香乃ちゃんは手紙を鍋友のポストに・・・。
美咲は池谷に言われて自分の気持ちがはっきりわかる。池谷いい後輩だぁ〜!

郵便をポストに取りにいったらちょうど永瀬さんが帰ってきた。
「君に郵便物なんてくるのか」
「どうせ来ないっすよ!」自分のポストのピザ屋のチラシを永瀬さんに押しつけた。
腹立つなぁ、あの言い方。こっちは苛ついているんだから。ほっとけっつーの!

美咲は永瀬に告白した。

第9話「本当の気持ち」 01/06/10
朝、永瀬の家に美咲がいたので、あたふたと帰るクミコ。永瀬先生はあっちにもこっちにもいいわけが大変。「ミルクおいしかったよ、ニャオ。」のあとの永瀬先生の微妙な表情がステキ!
雑誌事業部に異動になった美咲。「山手線」の執筆が進む永瀬。

飲まずにはいられなかった。寂しくって何か抱きしめたくて、新装開店のラーメンやの立て看板を道連れにして家に帰ったけどドアの前でハデに転んだ。永瀬さんが出てきてオレをベッドまでひきずって行ってくれた。
何だか人恋しくて永瀬さんを引き留めた。
留守番電話がえらいいきおいで点滅してると永瀬さんが言うけど、そんな出版社からの電話に違いない。イラストの締切り過ぎてるけど描く気になれないんだ。
ふられたぐらいで、と永瀬さんは言うけど永瀬さんにはわからないんだ。オレがどんなに落ち込んでいるかって。オレは今までモテモテできたから、ふられたことなんかないんだから。永瀬さんはいっぱいフラれてるからたとえ今フラれても数ある傷の一つで目立たないだろうけど。
「須藤を見習え。何度ふられても不死鳥のようによみがえる。」
「須藤・・・美咲さんか。あの人は強いんだか弱いんだかわからない。謎ぉー!」
「これだけは行っておく。締切は守れ。そうでないとダメな波に飲まれるぞ。」
「あんたに言われたくない。」
「そうか悪かったな。」
そんなことはどうでもいいんだ、とにかく何とかしてくれよぉー。この気持ち。
「あーもー!香乃ちゃんにもう一度会わせて!会いたいよぉ。会いてぇー!!
だいたいあのコずるくないですか。ある日突然やってきて『ピンポン来ちゃった』っつってオレの心のドアドンドンをたたいて、ついつい開けたらスルッと入って来てニコーって笑ってすやすや眠って『あー良く寝たぁー』っつってどっか行っちゃったんですよ。ありですか。それ人間として許されますか。」
「どっか行っちゃったんじゃない。茨城に帰って商工会議所に勤める男性と結婚するんだ。」
はーそうなんだよ、だけど何でそんなホントのこと言うんだよ・・・。

突然のピンポン。まさか?と思って覗いた。幻かと思ってドアを閉めた。
シー!・・・もう1回覗いてみた。
「仕組んだんですか?」
「ん?」
「香乃ちゃんが今ドアの外に立ってるのは、永瀬さんが仕組んだことなんですか。」
「いつからそんなひがみっぽいことを考えるようになったんだ。オレは何も知らない。あとはふたりで話したまえ。」
永瀬さんはドアを開けて出ていった。香乃ちゃんに「お待ちかねだ。」と言って彼女の背中を押した。
永瀬さんの優しい顔がありがたかった。

永瀬さんの「香乃ちゃん」のアクセントが変でそれが妙にしっくりきてる。

「びっくりした?」
「うん。」
「ごめんね、このあいだ。」
「ん?」
「駅行けなくて。あのときは行けなかったんだけど。」
「うん。」
「でも。」
「でも?」
「どうしてももう一回会いたくって。来ちゃった。」
その言葉を聞いたら、抱きしめずにはいられなかった。
「もう、ここに、いな。」
額をこっつんした。
「いな。」
「うん。」

か、かわいーい!チューはないと思ったんだよ。やっぱりなかったな。

朝目が覚めたら香乃ちゃんはいなかった。バスルームにもいない、廊下にも出てみた。あーーー何でだよぉー!
オレのイラストに書き添えてあった手紙を見つけた。

はだかよ、ハダカ!いいわー、はだか(笑)!

サンセットカフェで肘ついて呆然としてたら、永瀬さんに肘をはらわれた。
香乃ちゃんのこと聞かれた。
「帰りました。これが置き手紙。」
「マジ?」永瀬さんは手紙を声に出して読むから、よけい傷つくオレ。結婚式は来週の月曜日って書いてあった。
結局、オレは思い出作りの1パートにすぎなかった。ジグソーパズルの最後の一個。『これで綺麗になったわ、私の青春!あとはとっとと結婚するだけ』って感じなんだ。
永瀬さんは女なんてそんなもんだと言う。男は下僕で、たとえ王子様でもそれをやらされてる意味においてやっぱり下僕なんだそうだ。
そうか、そうなんだよな。
でも世の中には働かないで外に女をいっぱい作ってヒモ生活してて、それでも女の人が逃げていかない人がいるけどそんな人はどうなんだ?
「それは世界が違う。とりあえず俺たちはそこにはいない。」
そりゃそうだ。

問題の月曜日。目覚まし時計はその時を告げている。午後1時。香乃ちゃんの結婚式だ。
チャイムが鳴ってもしや?と思って開けたら、やけにさわやかな笑顔の永瀬さんが「やぁ。」だって。
香乃ちゃんの結婚式だっていうのに。オレを笑いにきたのかよ!
「お邪魔する。カレーをつくらせてくれ。」
「自分ちで作ればいいじゃないですか。」
「においがこもるじゃないか。台所借りるぞ。」
永瀬さんの鼻歌がよけいしゃくに障る。

タマネギを切りながら涙を流してる永瀬さん。いったい何なんだよ。
「オレを一人にしてくれませんか。今香乃ちゃんはバージンロード歩いてるかもしれないし、指輪の交換しるかもしれないし、三三九度してるかもしれない。オレは辛いけどそれに耐えてるんです。そんな時にそのトントントンというやたらうまい包丁さばき、気が散るっていうか。」
「気が紛れていいんじゃないか。」
「よりムカツクんですよ。」
「気がつかなくて悪かったな。退散するとしよう。まな板ごと借りていいか。」
「どうぞ。」
永瀬さんはあっさり帰っていった。オレを慰めようとしてくれてるのはわからないでもないけど、今はひとりでいたいんだ。

ふとんを身体に巻いてじーっとして香乃ちゃんのウエディングドレス姿を思ってみた。かわいいんだろうな。
喫茶からコーヒーが来た。頼んでないのに、また永瀬さんか。
一応飲んで永瀬さんところに行った。
「永瀬さんでしょ。僕のことはほっといてください。」
「いいところに来た。入れ。」
「はいりませんよ。」
と言ったもののうまそうなカレーの匂いに誘われてしまった。

「どうだ?」
「うまいっす。」
「それだけ食欲があれば大丈夫だ。」
オレのことを元気づけてくれてる。永瀬さん流のやり方で。それはよく判った。

「なんで行かなかった?」
「ん?」
「結婚式の日時が書いてあった。御丁寧に場所まで。さらって欲しかったからだ。映画卒業みたいに。でなきゃ書かない。」
「ええ。」
「わかってたか。」
「僕だってバカじゃない。」
「じゃ、なぜいかない。」
「僕は自分にできることはしたつもりです。彼女の前に道を示した。彼女の人生は二つに別れた。僕につづく道とそうじゃない道。それを決めるのは彼女だ。彼女の人生です。僕が横取りするわけにはいかない。」
「君も僕も優しい。」
「一緒にされたくないけど。」
「なんやかんや言っても君には人の悲しがる顔が浮かぶんだ。香乃ちゃんのお母さん、お父さん、あの真面目なおにいさん。香乃ちゃんの結婚相手。」
「そしてさらってきた3日後の香乃ちゃんの顔。」
「彼女は悲しがるか?」
「最初は嬉しがると思うけど3日後には後悔する。もしオレが彼女の人生を決めたとしてもその後悔をどうにかすることはできない。オレいくじなしかな。」
「いや、走り出すことばかりが勇気じゃない。踏みとどまることも勇気だ。心優しき勇者に乾杯。」

いやーーいいシーンだぁー。イイ男ふたり。
さらって欲しかったけどさらわれても困る。さらいたいけど困られたら困る。「卒業」のようにはいかない現実がそこにある。 

お皿を洗う永瀬さんのBGMは、「鍋友のお礼だ。カレーのお返し、アルハンブラ。」

香乃ちゃんが花屋で働いているのね?香乃ちゃんは帰ってない。結婚もしていない。
永瀬は久しぶりに恋人の日記を読んだ。彼女に裏切られ彼女をなくした心の傷は癒えない。そして山手線の話はもう書かないという。

燃える日記帳を見ながら静かに涙する永瀬。気づいてあわてて火の中からとりだそうとする久美子。どうしようもない永瀬の哀しみが判った。
永瀬は美咲との約束の場所に行くが、それは日本文芸大賞に推薦してくれる大作家の先生と会わせるために美咲がしくんだものだった。
そんなことが一番嫌いな永瀬。プライベートまで口を出す美咲にお前は僕の恋人でも友達でも家族でもない。ただの編集者と作家だと言う。
異動になって担当もはずれると聞いて、堰を切ったようにきつい言葉が出る永瀬。
「願ったりかなったりだ。そもそも君のようなタイプが一番苦手なんだ、喜んだり悲しんだり、人の心の中に土足でどかどか入ってきてあぐらをかいてるようなタイプ。もう一度言うが君は僕の恋人でも・・・」
美咲の頬に涙が。「そんな風に思ってたんですか・・・。」

鍋友くん、すごく辛いんだけど、でも、今まで経験したことのない気持ちをちょっと楽しんでいるような、悲劇のヒロイン?みたいな気持ちでちょっと新鮮だったりするのかもしれない・・・。
永瀬の表情ってすごい。やっぱり豊川さんってすごい。顔の筋肉をそんなに動かしているわけでもなく、木村みたいに目だけで芝居できるような目でもないのに、なんであんなに表情豊かなんだろう。微妙な心の動きが伝わってくる。中山美穂が素人に見えるくらい。

第8話「またフラれるの?」 01/06/03
日曜は永瀬さんの作品完成お祝いのパーティーだったんだ。オレは聞いたような気もしてたけど、ま、香乃ちゃんとのお別れだったし。でも、美咲さんたちは言い出しっぺのくせしてすっかり忘れてたらしい。ひどい人たちだよね。

数日後の朝、「新作が浮かんだ!」とまた永瀬さんが飛び込んできた。
オレは、まあ、ちょっと女友達が来てたんだけど、永瀬さんはおかまいなしに小説の筋をまくしたてた。
「あ、それおもしろそう」って言った友達の手を握って「ありがとう!」と言って永瀬さんは風のように去っていった。変な人だ。
友達を送って下まで行ったらポストに香乃ちゃんからのハガキが来てた。
でも肝心な結婚のことは何にも書いてないんだもん。よけい気になるよ。

クミコさんの「お姉ちゃんの年抜いちゃった。」はやけにジーンとしました。

サンセットカフェで美咲さんとユミさんと仕事の打合せ。だけど美咲さんは池谷との話ばっかり。かわいいんだけどあれはちょっと引くよなぁ。
「何で気持ちのままガーって行かないの?」って言ったら、永瀬さんもやって来て、「それが怖いんだ」と言ってた。
6時過ぎたので会社勤めの人たちはやっとビールを注文して、オレも永瀬さんもそれに乗った。
「人を思う気持ちは聞いて欲しいと願う気持ち。それを置いておくとその気持ちが死んでしまう。」と永瀬さんは言った。大人の人たちのそんなやり方は寂しいな。オレはそんなのイヤだ。
部屋に戻ってなんかもやもやする気持ちを持て余し気味のオレ。香乃ちゃんは「東京にいたのが夢のようだった」と書いているけど、オレにとっては夢じゃないんだ。
オレは決めた。会いに行こう!

ベッドからごろんごろんと転がるのが、鍋友のでかさが感じられて素敵!

そして行った。香乃ちゃんのいる茨城に。
あちこち人に聞きながらたどり着いたところに香乃ちゃんはいた。元気に野菜を売ってる姿を見たら嬉しくなった。オレを見るとびっくりしてた香乃ちゃん。
田植えの終わった綺麗なたんぼの横の土手で話をした。
香乃ちゃんは言った。「結婚するよ。」
それは本当にそうしたいのだろうかって思うけどそれはオレにはきけなかった。でもちゃんと自分の気持ちだけは伝えないとダメだ。
「すごい波が来た。」
「え?」
「このへんに、ダーってつよーい波が来た。こんな気持ち一生もんかなぁって思って。もう二度とないから。この波に乗らなきゃいけないなって思って、それですぐ電車に乗った。サンセットカフェで大人たちがしゃべってたんだ。心の勢い殺しちゃったら何にも思わなくなっちゃうって・・・。ごめん、話見えないね。」
「ううん。だいたい判る。私が東京に出たときもそんな気持ちだったから。」
「それはオレに会いに来てくれたとき?」
「そう。忘れられてたけどね。」
「今はオレが会いに来た。オレが香乃ちゃんに会いに来た。」

夜になって、駅まで送ると言う香乃ちゃんにオレは言った。
「今日こっちに泊まるんだ。駅前の旅館取った。」
「そうなんだ。」
「あのさ。」
「うん。」
「あしたの朝、帰るだ。」
「うん。」
「東京に。」
「うん。」
「一緒に帰らない?サンセットマンションにいっしょに。ほら最初、金なかったらさ、オレのとこに一緒に住めばいいし、オレイラストの仕事何とか続いてるし。」
「それ、プロポーズ?」
「いや。」
「違うんだ。」
「それはまだちょっと正直自信ないな。でも、だけど、一緒にいたい。本当はこのまま抱きしめてそのまま連れて帰りたい。朝一番の電車で待ってる。その気になったらきて。」

勝手なこと言って、香乃ちゃんが困るってこともわかるけど、でも気持ちを抑えるのはイヤだし。
香乃ちゃんに賭けたのかな。オレは。

おぉぉぉ、久々の胸きゅーんだぁ!香乃ちゃんそこまで言われて、あんた最高に幸せもんだよぉー。

そして朝、駅で待ったけど、香乃ちゃんは来ずに電車が来てしまった。
駅舎の外まで見に行ったけど、人影はなくて、おれはいつもしてた水色のマフラーをそこに結ん電車に乗った。

あぁぁ、鍋友くん・・・・・。

美咲ってやっぱ振られるわ。それじゃぁ。永瀬さんは魅力があると言ったけどそうは思えないんだなぁ。
話を聞いて欲しい美咲の攻撃に降参して、「下行くぞ。6時過ぎたろ。アルコールだ。」っていって薄く微笑んだ顔がかわいい永瀬さんでした。
香乃は鍋友の残したバフを握りしめる・・・。

部屋に帰った俺はそのまま玄関で寝ころんだ。首が少し寂しい・・・。

さんざんな言われ方の池谷。「もごもご言ってなに言ってるかわからないときがある」とか「目がメダカみたい」とか本当にそうだから笑った!「あの声が好き」ってのは私もそうです。
100個の悪口の一番最後は、「しかし悪いが池谷は結構いい奴だと思う。どうしようもない奴を好きになるよりは君にとっても良かったのでは。」
永瀬さん、あったかーい!

第7話「最後のデート」 01/05/27
突然やってきた男の人は、香乃ちゃんの兄さんだと言った。香乃ちゃんは結納の日に逃げ出して来て、兄さんが探しに来たらしい。
どうも本当のようだった。
この人は俺と香乃ちゃんが一緒に暮らしてると思いこんでて、あちこち俺の部屋を探っている。だから、迷惑だったんだ、と言ってもなかなか信じてもらえない。迷惑だったと言うんですか?という問いに、一瞬ためらっったけどそうだと言うしかないんだよな。
永瀬さんがお茶っ葉があったと持ってきてくれたので、これ幸いと入ってもらった。こういうときに冷静なこんな人が居れば助かるよな。香乃ちゃんの兄さんの言うことを交通整理してくれて、兄さんは永瀬さんのことは信じてくれそうだった。「まじめそうだから」ってのがちょっと引っかかるけど。
そんな時に飛んで火にいる夏の虫で香乃ちゃんが差し入れを持って来た。兄さんが出ていって逃げる香乃ちゃん、追う兄さん、それをまた追うオレ。なぜだかその後を永瀬さんも追っかけてきたけど。

永瀬さん!みんなの靴をひっつかんで行くところが、すっごいラブリ!

追っかけっこが終わって部屋でみんなでハァーハァー息ついてる状況はどうも変だ。
香乃ちゃんは兄さんに「カッコ悪いことしないでよ!」と」すごい剣幕で怒っている。
話を総合すると、見合いして結婚が決まったけど、こんなものかなって急に不安になって、ラブストーリーのヒロインみたく好きな人を追っかけてみたかった。都会の人みたいに軽くキスとかもしたかった。結婚するまえにちょっとだけ冒険したかった。ということらしい。
いやいや、キスしたのは永瀬さんであってオレじゃないんだってことを主張しといたけど。
香乃ちゃんは兄さんと一緒に帰るから、と言った。そうだったのか。なぁんだ。ちょっと寂しいなぁ。その程度だったのか・・・。

なんやかんやとしゃべる女だなぁ美咲は。あぁーーちょっと着いてけないワ。
永瀬さん、原稿を丸めて柱とたわむれてる姿がまたまたらぶり!

今日は喫茶店に香乃ちゃんがいない。ピンクのペンで香乃ちゃんのイラストを書いてみる。
そした喫茶店に入った新しい子を紹介された。香乃ちゃんもうやめたのか・・・。
そのとき香乃ちゃんが裏からオレを読んだ。
階段に座って話をするけどなんかぎこちなくて居心地悪くて。
「今週中に帰るの」
「ふーん、急だね」
「・・・イラストの方順調?」
「まぁ、ぼちぼちかな。」
「そう。」
「・・・・結婚すんの?」
「・・・うん。」
「・・・そう。」
「鍋友さんは自分の道を自分で歩いてね。その力のある人だから。」
「ありがとう。」
「あ、そうだ。用件。用件一件目です。ぴーっ!」
「(笑)」
「デートして。最初で最後のデート。ウソでいいの。作り物でいいの。張りぼてでいいの。最後に思い出作り。」
「いいよ。オレでよかったら。」

ものすごい可愛い顔したよ!用件一見目ピー!のときの鍋友の顔!永久保存版みたいなかわいい顔!

日曜日、原宿駅前で待ち合わせした。大きな荷物を持った香乃ちゃん。それ何?って聞いたら今晩7時の電車で帰るって。
そうだよな今週中に帰るって言ってたんだもんな。今日は香乃ちゃんと最初で最後のデートか・・・。
香乃ちゃんが来たかったって言う人気のカフェ、CAFEdeF.O.B。手作りのガイドブックのようなものも持ってた。
両親とも先生で、田舎のいいとこのお嬢さんで、何も冒険とかできなくて、自分にブレーキをかけてきたから羽を伸ばしたかった、ちょっとだけ跳んでみたかったと言う香乃ちゃん。
「香乃ちゃんはやさしいね。普通髪染めたりとかみんな勝手にやっちゃうよ。」
好きだから・・お母さんもお父さんも。
なんていい子なんだろう。今頃気付くなんて。
「こんな話もっと前にすればよかったなぁ。親の話とか。」
でも秘密だったから。茨城から出てきたなんて。
そりゃそうだ・・。
時間がないんだから行かなくちゃ。お台場、ディズニーランド、青山もしくは代官山でお茶?と言うと、何でわかったの?ってびっくりしてた香乃ちゃん。
そりゃ大定番だからね。

香乃ちゃんの話を聞いてる鍋友の顔ときたら!もうめっちゃ優しい顔!いつの間にこんな大人の顔が出来るようになったのかしらん。

そしてデートらしいデートをしたオレたち。パレットタウン、メディアージュ、海浜公園も・・・。あのラブジェネで理子が田舎に帰る日も最後はここの海岸だったっけ。そんなことふと思い出したりして、夕ぐれを見つめる香乃ちゃんを見つめてしまったオレだった。

手を伸ばして自分たちの写真を撮るふたり。そのときのおどけた顔が慎吾だぁー!海で遊ぶ姿は素で楽しそう。

豊川さんっで靴下をはいたり脱いだりするシーンが何か多くありませんこと?必ず1回や2回あるような気がする。
今日は永瀬の小説完成祝いパーティーだったのに、行こうとしてた人たちはそれぞれにデートに夢中でそんなこと思い出しもしなかった。かわいそうな永瀬さん・・・。

もう時間が近づいてきた。コインロッカーからカバンを取り出したけどまだ時間あると思って最後のお茶に行く。
「最後のコーヒーはスタバになっちゃったね。」
「ううん、茨城はスターバックスないから。」
「そうなんだ。」
ショーウインドウの花嫁衣装を見つめる香乃ちゃん。洋装と和装どっちが似合うかなって言う。オレが選んだ方着るの?と言ってみると、「それ変だね。」ってそこを離れた。
東京駅前で「ここでいいから。」と言う香乃ちゃん。
「どうして。ホームまで送るよ。」
「いい。」
「何で?」
「泣くから。」
「どっちが?」
「私。鍋友さんは泣かないでしょ。」
「さっき胸が痛かった。最後だから正直に言うけど、ウエディング姿の香乃ちゃん思ったら苦しかった。」
やさしくほほえんだ香乃ちゃん。オレの方に手を差し出して
「・・・・・バッグ。」
オレがカバンを差し出すと、空いた身体に香乃ちゃんが抱きついてきた。
オレはカバンを落としてしまい、そのまま手を彼女の背中に回した。
「これは。」
「ん?」
「ラブストーリーのヒロインじゃなくて、結婚前の思い出作りでもなくて、本気で。本気の私が本気でこんなことしてる。・・・・」
「何かマジで好きになりそうな気がしてんだけど。今さらかな。」
「・・・・でも、嬉しいよ。」

そして香乃ちゃんは行ってしまった。オレの前から風のように去っていった香乃ちゃん。
オレはこれからどうなるのかな。

きゅっきゅっきゅーん!鍋友くん!そんなこと!そりゃないよ。今そんなこと言われたら結婚なんてできないじゃん!そんなこと素直に言えるのが鍋友くんなんでしょうが。でも香乃ちゃんそのまま帰っちゃったのね。あんなこと言われたのに。偉い!

一方美咲と池谷もいい雰囲気。池谷の部屋に行ってしまうのか?
永瀬さんは一人で店にいたけど、連絡が来たのは仕事で行けないというユミだけ。いたいけな永瀬さん・・・。

第6話「まさかのキス」 01/05/20
抱きしめたことでちょっと微妙な空気が漂ってる永瀬と美咲の間。必要以上の咳払いがおかしい。偉い人がするもんだって。

頼まれてた香乃ちゃんのイラストに色を付けて持って行った。
香乃ちゃんのイメージのピンクにした。
渡すと香乃ちゃんは
「めちゃくちゃ嬉しい!ありがと。忙しいのにごめんね。」
「ううん、すごい楽しかった。」
何かオレ完全に彼女のペースに巻き込まれてるような感じだなぁ。

その時喫茶店を覗く怪しげな男が・・・。
そいつはクラブでDJ中の鍋友の様子を伺っている。

作家大先生の接待でセクハラ地獄の美咲。
永瀬の見合い相手は今時の女子大生。
それぞれに大変だぁ。
お見合いデートの場所はお台場、メディアージュ!永瀬がレジで怒った店は中居代行社が開店の準備をした「Wild Thing Shop」だ!

「おやすみ、のび太・・・」(笑)
永瀬と美咲の掛け合いがすごくおもしろくなってきた。

セクハラオヤジのせいで2日で書いてくれる人を捜す羽目になった美咲と池谷。
「いい話を聞かせてやる。君は僕のドラえもんだ。君は奇跡を見せてくれた。だから僕は3日でラブストーリーが書けた。」
永瀬の精一杯の思いが・・・・。あぁぁいじらしい永瀬さぁーん。
それなのに、美咲ってば・・・。

こないだ夜中、自転車で走ってて止まったときに知らない男の人に「この辺でおいしいラーメンやさん知らないか」って聞かれた。なんかくらーい感じでちょっとおかしい人かなって思ったけど、そいつがいきなり部屋にやって来た。
何だって?香乃を返してくれって?結納の日に逃げ出した?
何なんだよぉ。何言ってんのかわかなんいよ。話がしたいっていうのでとりあえず部屋に入れた。
永瀬さんちにお茶っ葉を借りに行ったら、新作ができたから読んでとか言ってたけどそれどころじゃないからほっといた。
さあどんな話をおっぱじめるんだ、こいつは・・・。

何も知らずに眠ってる鍋友くん。本当に眠ってそうだな(笑)

第5話「近づきたいよ」 01/05/13
創文書店の池谷くんが仕事の依頼に来た。
親父のことがあってオレは全然描く気がなかった。池谷くんはコネなんて最初のきっかけ作りだけであって、そのあとは自分の実力次第。この世界はそんなに甘くないと言う。美咲さんもそんなこと言ってたし。でもなんかひっかかる。
池谷くんは、オレに実力がある、自分はオレのイラストがいいと思ったから担当になりたいと自分から申し出たと言ってくれた。それ、信じてみようかなって気になった。

夜、香乃ちゃんが差し入れと言ってお弁当を持ってきた。
「手作り弁当なんてオレ怖いんだよ。」
「ひどい。ちょと食べてみて。」
「いいからさ、お隣さんにでもあげて。」
「ひどい!あたし鍋友さんのために作ったんだよ。」
「どうしてポイントポイントでそういう怖いことすんの?」
「なんで怖いの?よくわかんない。」
「んーー怨念がこもってそうでさ、それ食べたらあれでしょ、結婚とかいうんでしょ。」
「言っていいの?」
「ダメダメ全然だめ!結婚なんて考えられない。」
「待つから。」
「は?」
「いつまでも待つから。」
「どうしてそういうこと。」
「ほんと!卵焼きだけでも食べて。」
必死の様子と強引さに負けて卵焼き食べちゃった。オレの好きな甘いやつだったし。そしたら好物の唐揚げとキンピラも入ってたし、やっぱりもらってしまった。それがさ、何か今考えると、最初からもらうつもりでいたかもしれないんだよね。お弁当持ってきてくれて本当は嬉しかったのかもしんない。何かはまってしまってるけど。
永瀬さんにも持って行ってちょっと分けてあげた。何か永瀬さんには報告しなくちゃいけないような気がしたから。でもまた小説のネタにされるかなぁ。永瀬さんにはオレが最近ギターを弾かないって言われたけど、イラスト描かなきゃいけないから、それどころじゃないんだ。

「腕をつかんで相手を一緒にしゃがませて話す」鍋友くんの技を香乃ちゃんがしっかりものにしてる。

お弁当箱を洗って喫茶店に持っていった。香乃ちゃんを廊下に呼びだしてお礼を言ったら、喜んでまたつくってくれるって。今さら断りもできないし、うまいし、まあ深く考えずにいつものように軽い感じでもらっっておこうと思ってる。
なんかお礼をしなきゃねって言ったら、この間描いた香乃ちゃんのちっちゃなイラスト、あれがもう1回欲しいって言った。
「あれ、も一回もらっていいかな。」
「捨てちゃった!」
「え?」
「うそ!」
「はぁ・・なんで。ひどーい!」
「ね、あれ、もう1回欲しい。」
「そうだ、色付けよっか。」
「嬉しい!」
「んー、ピンクかな。」
「私そんな感じ?」
「そんな感じ。」
「ちょっと時間かかっちゃうと思うんだけどいい?」
「いつ?」
「来月。」
「いいよ。ずっと楽しみにできるし、そういうの好き。」
あんな可愛い顔でこんなこと言われたら、やっぱりにっこりしちゃうよな。あー、あぶない、あぶない。

ここでも「腕をつかんで相手を一緒にしゃがませて話す」技炸裂。そのまま壁に持たれて床にぺたんと座ってしまってるし!

美咲さんとちょっと話した。
「こないだのことはお腹を貸してあげただけってことね。」
「お腹・・・僕、あなたのこどもを?」
「そうじゃなくて。」
「飲んでたし、ショックだったんで、すいませーん。」
「はいわかりましたっていうのが大人の女だよね。」
「心、動いたりしました?」
「心は動かない、ただそっちがどういうつもりだったかって思っただけ。」
「すいません。別につもりはありませんでした。」
「確認しただけです。」
と一件落着ってことで。美咲さんには悪かったけど本当にあの時は、ああやっていたかっただけだから。オレ落ち込みやすいけど、立ち直りも早いんだ。
その後美咲さんと話したけど、美咲さんが男に縁がない理由を教えてあげたみたいな感じだった。
レジュメ作りが得意な女より料理が得意な女がいいとは、一概には言えないけど、まあ美咲さんが「要するに」とかすぐ言うことが原因の一つなんだし、あと胸の前で腕を組むのも、足組むのもどうかなってことを言ってあげた。
美咲さんは「心の注意書きに彫刻刀で彫っといた」とか言ったけど、その言い方って普通じゃないよな。

それから池谷くんのことを美咲さんに聞いてみたら、本当にオレの担当に立候補してくれたんだって。
オレの絵のファンだなんて、言ってくれてちょっと照れちゃうな。
永瀬さんと約束の時間になって美咲さんがあわてて席を立ったんで「もう行っちゃうの?」って思わず言ったら、「『もう言っちゃうの』って、とりあえず、その思わせぶりはやめたがいいと思う。」って言われちゃった。でもこれはクセなんだからしょうがないんだよ。

ヒビキ書房のマキタさんに永瀬さんの原稿を譲るなんて、考えられないよね、美咲さんのお人好しには驚いたよ。あとで聞いたらその原稿をマキタさんがなくして美咲さんが必死で探して見つけたんだって。すごいガッツだよね、美咲さんって。

美咲って。こんな人いないよ。もしいたら腹たってくるな、私は。何でだろう、北川さんなんかおかしいよ女の人の描き方が。ユミも何か人格が定まってなくて変だし。香乃ちゃんはまあまあ。男たちはみんないいのになぁ。
でも今時携帯を顔の正面に向けてしゃべる人なんてどういうの?笑かそうとしたのかしら?ひょっとして。
豊川さんの笑顔がとってもかわいい。すっごいなぁこの人。どんな役をやってもすごい存在感。それでいて一人浮いたりしない。最後の抱きしめるシーンは恋愛感情がなくてさわやかでよかったです。

第4話「思わぬ展開」 01/05/06
永瀬さんと香乃ちゃんがコンサートに行っている間中、美咲さんとオレはなんかくらーい雰囲気。
美咲「今頃何してるかなぁ。」
オレ「うん。」
「ホテルとか行ってたらどうする?」
「あなたも珍しいね。」
「何が?」
「行ってないよ。」
「保証してくれる?」
「だめ。保証はしない。」
「してよ。」
「何で命令するの。」
「命令かな。」
「・・・こんなことするんじゃなかったかなぁ・・・」
ため息が出るよ。何気にしてんだ、オレ。美咲さんがそういう雰囲気だからつられちゃってんだよ。そうだって!

次の日喫茶で香乃ちゃんにどう切り出そうかと思案しつつ、メニューがなかなか決まらなかった。
香乃ちゃんは何も言わないので、聞いてみた。
「昨日どうだった?永瀬さんとのデート。」
「最低!」
「最低なデート?」
「じゃなくてあなた!ああいうことするの最低だと思う。自分が楽しむだけのために人の気持ちで遊べる人って、どっか壊れてるんじゃないかって思います。そういう人につきあうほど私時間ないです。」
「時間ないってただここでバイトしてるだけじゃん。」
そしたら持ってたコップの水をバシャ!っとかけられた。びっくりしたけど、不思議に腹が立たなかった。
オレそんなこと言うつもりはなかったんだけど、思わず言っちゃったから。あ、この言葉はまずい・・・と思いながら言ってたから。
あわてておしぼりを持ってきた香乃ちゃんは言った。
「そりゃあなたみたいに才能も何もないけど、自分のこと特別って思う気持ちってハタから見てるとすごくいやしいよ!」
自分のこと特別なんて思っちゃいないよ!と反論したいところだけど、今のオレにはそれはできなかった。悪いことしたのはオレなんだから。

焼き肉屋の永瀬と美咲。美咲が前に「焼き肉タンシオを網に乗せた瞬間に幸せを感じる」と言ったことを思い出した永瀬のニヤっとした顔がすっごくイイ!それだけで全て語れてる表情。「君の幸せは終わった。タンシオは終わってカルビの番だ。」サイッコー!

また夜ずっとギターを弾いてたらそのままソファーで寝ちゃってた。
朝チャイムでユミさんに起こされた。
夜這い?って聞いたらもう朝って。ユミさんはオレのイラストが表紙になった雑誌を持ってきてくれたんだった。
おおーこれかぁ!やったぁー!初めての仕事だ!なぜだか喫茶にその本を持ってったんだオレ。
そしたらもう香乃ちゃんはその本を買ってくれていた。見ちゃったんだ、その本をわざわざ一番上にしてくれていた香乃ちゃんの顔。
そんなところかわいいなぁって思った。正直。
だから、もう怒ってないかなって思ってオレの表紙になったお祝い会に誘ったんだけどあっさり断わられた。
まだ怒ってるんだ、まあ当然か。このまま怒らせとけば香乃ちゃんから逃れられるのに、オレはなんつうか、誰からも嫌われたくないっていう気持ちがあるのかなぁ・・・。
だからでもないけど、夕べちっちゃい紙にちょっと描いた香乃ちゃんのイラストを渡したんだ。
「これ書いてみたんだけど。似てない?水ぶっかけられたときの顔が可愛くて、昨日描いてみた。」
「ずるいよね。」
「あ?」
「こういうことして、上手に心掴んじゃうんだよね。」
「心掴まれた?」
「でも、パッとその大きな手開くともう私の心、粉々になってそうな気がする。」
「それ、結構そっちなんじゃないかな。」
思わず言ったけど。オレは香乃ちゃんに心砕かれちゃったのかなぁ・・・。なんだか本当に変なオレ。いつものペースがつかめないよ。

オレのお祝い会は美咲さんと池谷くんがお祝いしてくれた。なんでか永瀬さんまで来て、いきなり表紙になるなんて絶対おかしいと、またしつこく言っていた。自分がかけないからひがみなんだよな、あれは。
「永瀬くん、がんばってくれたまえ」って永瀬さんの頭なでちゃったよ。余裕、余裕!へっへ。
あとからユミさんも来て、オレは気分良く酔っぱらってた。
永瀬さんが帰るときオレに言った。「その表紙の色はなかなかいい。」
そうだろうって。やっと認める気になったかな。
「しかし、この世の中には一発屋というのがイヤというほどいる。クリスタルキングとか。」
「何すか、それ。」
「『あの人は今・・・』というテレビ番組を知ってるか。俺はテレビはみないが、あれだけは好きだ。一発屋の人生と一発もない人生では、一発屋のほうが一度いい夢を見た分あとが大変だ。君も大変になるだろうが、まあ、ガンバレ。」
ほんっとイヤなこと言うよなぁー。人の頭なでやがって!あ、俺が先になでたんだっけ。永瀬さんはどうしても俺を認めたくないらしい。ちっきしょう。

ベロベロになってユミさんに送ってもらって帰った。もうハッピーハッピーだからどうでもよくなって、一緒に喜んでくれるユミさんに「嬉しいからキスしていい」って言ったら、そんな人種なんだ?悲しむ人はいないの?だって。俺にアプローチしてきてたくせして、そんなこと言うんだからなぁ。
「彼女いないもん」って抱きついて床に倒れたら、手にコップ持ってたこと忘れててそれが倒れて水がこぼれた。
そしたらユミさんが床に落ちてた香乃ちゃんイラストを見つけた。
「いた・・・。ここに、いた・・・。」
「んー、香乃ちゃん。描いてみたんだけど、どう?」
「うん、すごくかわいい。ねえこういう気持ち大切にした方がいいよ。こういうの描いてた時の気持ち。」
これ描いてた時の気持ちって言われても・・・自分でもよくわかんないんだよなぁ。
「じゃあさ、寝なくていいし、キスしなくていいから、ディズニーランド行こうか。」前にイラストが採用されたらデートしよう、ディズニーランド行こうってユミさん言ってたから。自分で何でそんなこと言ってんだ?って思いながら言ってたオレ。でもそんな気持ちって相手に伝わるんだよね。
「私あなたのことちょっとわかる。鍋友くんいい人だから、すぐ人のいいところわかって好きになっちゃうんだよね。今のは聞かなかったことにする。ディズニーランドの件。」とユミさんが言った。
「そう。」内心ホッとしてたオレ。
ユミさんはドアのところまで行って言った。「香乃ちゃん来てたよ。ロマンゾの前まで。黄色い花束持って。」
ユミさんが出ていって、オレは床にそのまま寝ころんだ。香乃ちゃんかぁ・・・・。
そして今晩もアルハンブラを弾いた。

ユミの「いい人だから・・・」の台詞。善意に解釈すれば、「香乃ちゃんのことが好きになったのね?」って意味?でも、「私のいいところがわかって、私のこと好きになったのね。」とも取れる。どっちにしろ、ちょっとイヤな感じの台詞です。細かいこと考えないでニュアンスだけで解釈しましょう・・・。

翌朝早くドアが壊れそうなくらい叩くヤツが。永瀬さんだ。
「チャイムあるでしょう、チャイム。」
「手でノックしたい気分なんだ。アナログな気分だ!」なんて晴れ晴れとした顔をしてんだ?この人は。
「誰か死んだんですか?」
「違う、生まれたんだ。入っていいか?」もう入ってるだろ!
「何なんですか!朝っぱらから!」
永瀬さんは世紀の傑作が浮かんだと喜々としてる。コーヒー入れようとすると豆から曳いてくれとか言うし。
それでその物語を聞こうとしたら、なんかもったいぶって、「いやー」とか言うし。
「あんた人のこと起こしといて、何照れてんですか?」
「バカいっちゃいけない。俺は照れてなんかいない。」その前髪をサラッと払う仕草はどうよ!
「照れてるくせに。」
「いや、今になって君に話すのがもったいないかもと思えてきた。全国何百万といる俺のファンの誰よりも先になぜ君に話さなければならないんだろう。」
「だろう?いけないんだろう?何がだろうだ!あんたには常識ってものがないのか!」
「俺は天才だ。常識は必要ない。」
ムッカぁーーーーー!!コーヒーはブラックでよろしいですか?って聞いているのに人の話なんか全然聞いちゃいない。
「悪いがなかったことにしてくれ。」
「は?」
「話す相手を間違えた。ゆっくり眠ってくれ。」んがぁーーーー!!!ぢーぐしょぉぉぉ!
「おっさん!!」クッションをアイツの出ていった玄関向けて投げつけた。

らぶりーーー!豊川さーーん!なんて素敵な笑顔!もったいぶって「フフ」って笑うところ、「俺は照れてなんかいない」の前髪払うところ、ずっきゅーんって感じ。
話を聞く美咲。涙出てきたってところがちょっと・・・。どうしても美咲のキャラに共感できないわ。


今日は親父と待ち合わせ。めったに着ないよれよれのジャケットを着て、ネクタイ締めて緊張して喫茶で待ってた。
オレのイラストが表紙になった雑誌をさりげなく親父の座る席の前に置いたりしてたら、永瀬さんが来た。
その恰好おもしろいぞなんてちゃかされても今日のオレはうまく言い返せない。
永瀬さんはその雑誌をパラパラめくっていて「PANFRIEND」の広告のぺージを見つけた。
「君のところの会社だ。」
「それが何ですか?」
「なるほど。謎が解けた。」
「何の?」
「いきなり表紙に採用されるなんておかしいと思ったんだ。バーターだ。」
「バーター?」
「君の親父さんが広告を出したから、君のイラストが採用された。」
「・・・」え?どういうことだよ。まさか・・・。そうなのか?
「何だ。気がつかなかったのか。」
「気がつかなかった。」
「おめでたい。」
香乃「わかんないじゃないですか。偶然の一致かも。」
「ま、そういうこともある。」
何なんだよ。そうだったのか。何でだよ・・・。
その時親父から電話がかかってきた。今日は来れなくなった。創文書店が一席設けたから。
そして親父は言った。「父さんが頼んでやったんだぞ。たいしたもんだろ。ハッハッハ。」
・・・・・・・。
オレは奥歯を噛みしめて、でも永瀬さんたちの手前平静を装って言った。
「すっげぇバカみたいだオレ。親父を乗り越えた気でいたよ。そしたら親父の力だった(笑)」
「ガツーンと言ってやったか。余計なことするなって。」
香乃「そうよ、そんなの言ってやればいいのよ。自分は自分の力でやるって。そしたら鍋友さんだったら」
「何にもわかんないくせに、学級委員みたいな口きくなよ!」雑誌を裏返したオレ。
二人が沈黙したので「悪い。」とだけ言って部屋に戻った。

おーっと、鍋友パパが細川俊之。似ても似つかぬ親子(笑)
ファザコン恭二くん、かわいいよー。

夜になっても放心状態。こんなときはヤケ食いだ。ドアを開け放した冷蔵庫の前に座り込んで中のモノを手当たり次第口に入れてた。
コレが挫折なんだろうなぁ、今までも何回か挫折はしたけど、こんなにボキッと折られたことはなかったよなぁ。今回は痛いワ。はっきり言って。
オレこのままイラスト続けられるんだろうか。雑誌もゴミ箱の中だ。
その時チャイムが鳴った。
美咲さんが次の仕事の資料を持ってきた。
「描かないよ。」
「え?どうかした?」
「知ってた?オレのイラストが何で使われたか。」
「あ、いいから。あのイラストすごくいいから。」
「・・・」
「違うの?」
屈託ない美咲さんの言葉にオレは救われた気がした。そしてひざまずいたまま、立ってる美咲さんの腰を抱きしめた。
驚いた美咲さんは「あ・・、どしたの?」
「よかった。やめてよってやられるのかと思った。」
「あの、それは、やらないけど、どしたの?」
「ちょっとね。」
美咲さんは、こういうシチュエーション経験ないから、どうしたらいいかわかんなくて、とかごちゃごちゃ言うから、「いいから黙って。こうしてて。」と頼んだ。
別にそんなことしてどうこうしたいってわけじゃないんだ。ただ誰かにすがりつきたくて。とにかくそうしていたかったんだ。

ドアが開いて永瀬さんの声がした。「どうだ、鍋友、一杯・・・!失礼!」
永瀬さん?オレのこと心配して来てくれたのかな。ごめん。でも、オレはただこうしていたいだけなんだ。気持ちがもう少し落ち着くまで。もうちょっとだけ・・・・。

第3話「君の恋」 01/04/29
んーーー、今日のテーマはウサギ!んで、バックを何色にしようか・・・とパソコンで色をいろいろ変えて考えた。赤、緑、水色、青、黄色・・・ん、これかな?今日のキャンパスはオレの部屋のドア!
しっかり鼻と口を覆って、ドアを開けてドアの内側をまず黄色いペンキで塗ってたら、永瀬さんがイチャモンつけてきた。
「何をしている!」そんなに臭くないだろうに、鼻なんかつまんでじゃって。うざったいから答えなかったらまた・・・。
「何をしていると聞いている!」
「芸術。」
「何だこれは。」
「曲がりなりにもあなた作家でしょ、心が爆発する時ってあるでしょ。」
「このペンキの匂いをどうにかしてくれ。」
この部屋はボクのもの。永瀬さんは賃貸だけどボクは買ったんだからどうしようとボクの自由だと言ったら、
「イヤなヤツだなぁ。」と言って自分の部屋に入ろうとしたけど、また振り返ってごちゃごちゃ言ってきた。
「このドアは君のものだが匂いがこっちに来る。君は知ってるか?匂いというのは粒子の粒が鼻孔につくと感じるんだ!」
「じゃ、便所が臭いっていうのは?」
「そんな話はしていない。そのペンキだペンキ!そのペンキの臭いをこっちまでとんで来ないようにしたまえ!」
それでこっからこっちはオレのエリアだ!と言いながら靴で廊下にぎゅーぎゅー線を書いて、空中でもダメと言いやがった。もうオレは無性にムカついてそのままアイツのドアに描いてやったよ!今日のテーマのウサギを。へっへっ!

鍋友くんのアップから始まって、あぁやっぱりファンを意識したサービスショット!
ブルーのグラデーションのチェックのシャツがかわいい!
廊下に線をひっぱる豊川さんのキュートなこと!足の長さが強調されて。
ボディーブローみたいな恰好でペンキの刷毛をドアにぶつけるのがカッコイイ!

「ふられたのかな?」なんて美咲。そうだろ!まだ諦めてないのか!あきらめ悪いなぁ!ホントに。
永瀬さんと編集者3人が話ししてるときに、美咲に彼から電話が来て、3人が聞き耳立ててるのがおかしい。

コンビニ行って帰ってきてた時、改めて永瀬さんちのドアの作品の出来映えを見てたら、いきなりドアが開いて、オレの頭にガン!ってもうオレは吹っ飛んださ。出てきたのは美咲さんたちだったので、イラストを見てもらう方が勝って痛いのはすぐ忘れちゃった。でも美咲さんはまだ忘れてんだよね、オレのイラスト。「一生忘れてるでしょ!」って言ってたら永瀬さんが出てきて、ドアの絵が見つかっちゃった。
「何だこれは。」拳固でコツコツとドアをたたき、
次の「何だこれはと聞いている!」とわざと膝でコツコツドアを叩いたくのがちょっと怖かったよ。逃げようとしたら美咲さんたちに抑えられて永瀬さんの前に突き出された。
「見てわかんないですか?ウサギですよ。」
首根っこ掴まれてドアに顔をピタッとひっつけられて「人のドアにウサギを描くな」だって。
なんか怖いよなぁ、仁義なき闘いって感じがちょっとするんだよな。いや、いい人なんだけどさ。
消さなきゃいけないなんて。せっかく描いたのに・・・・。
消すのをユミちゃんが手伝ってくれた。どうせ消すならとユミちゃんがドアに描いたのは相合い傘。それもオレの名前入り。普通本人の前でそんなの書いたりするかぁ?脱力したけど、ここは交換条件を出すっきゃないとオレはイラストのことを持ち出した。
「わかった。売り込む。うまくいったらつき合ってくれる?」
「いいよ。」
「つき合うってどういうこと?1回寝るとかそういうことじゃないよ。」
「じゃどういうこと?」なんだ違うのか。
「ディズニーランドとか行くんだよ。」
「分かった。考えとく。」
「頼んだよ。」
なんだかなぁ。わかんねぇよ彼女。普通に恋人になりたいってことなのかなぁ。めんどくせぇなぁ。ま、イラストのことがあるからいいや、どうにかなるさ。

背の高い二人の斜め下からのショットが迫力!素敵!
彼に決定的にふられて飲んでる美咲と偶然会った永瀬さんがカンパイしたら、左手ひらひら。とってつけたようにやる中山美穂!なんだこれ。それはちょっと笑ったぞ。CMパロってる?
美咲はなぜか永瀬さんの家に来て語っている。鍋友のギターをBGMに。
永瀬さん、いい!どうせ書きゃしないって言われて、「断固として違うと思うぞ!」。結構話を聞いてて「結構おもしろい」。「随分いいことを言っている。おれは心の原稿用紙を開いて記録している」とかおもしろい北川ワールド。
しかし、こんなに語る女って本当に怖いよぉー。

オレは夜ギターを弾いてた。相当頑張って弾いたのでぐったりしてたら、永瀬さんがやってきて、続きをひけと言った。
「へたくそなアルハンブラの思い出だ。」って、本当にこの人の言うことはいちいちムカツクなぁ。まあ悪い人じゃないんだけど。
「続きはありません。全部弾きました。」
「たのむ、もう1回弾いてくれ。」
「なんで?」
「心が洗われた。」
「作家のくせに陳腐な感想。」
「心が6本の弦になったよ。君の指先につまびかれて心が喜んだり悲しんだりして、私がギターだったらずーっとあなたに弾いていて欲しいと、彼女が言った。」
「彼女、女ですか?」
「美人だ。君のギターのファンだ。」
そう言われれば悪い気はしないからまあちょっと弾いてやろうという気になったさ。
でもよく考えると永瀬さんの部屋に美人がいるなんて、おかしいんだよね。
あとでわかったけど、その美人って美咲さんのことだったんだ。まあ確かに美人は美人なんだけど。

美咲は話を続けた。
そんなに語るほど彼を好きだったのかなぁって思ってしまうなぁ。そんな雰囲気を全然感じなかったし、あの彼役は池袋WGPののワルモノの通称ドーベルマンなんだもんなぁ。関係ないけど。
永瀬は美咲の話を結局は小説にしなかった。原稿を焼いてる永瀬。たき火してる姿も足がなげぇー。
どうして書かなかったか問いつめたけど、「生身の話に心を打たれた。あなたのものはあなたが大切にとっておくべき。」という永瀬の優しい言葉に救われる美咲。
永瀬さんが優しく語るときは丁寧語になるのが妙に芝居がかっている。それはそれでいいのかな。

クラブにいたら、香乃ちゃんが、ボクのイラストに発注が来たという知らせを持ってきてくれた。ユミさんから連絡があったって。やったぁ!
ピョコピョコ飛び上がりながら話してくれる香乃ちゃんは自分のことにように喜んでくれて、かわいいかったな。いやー良い知らせをくれてありがたかったからそう思ったんだよ。
でも、ホントに、やったぞぉーーー!!頑張るぞ!

鍋友の父は「PANFRIEND」って会社(アパレル?)社長で、大手広告主だったわけで、それで鍋友くんに雑誌の表紙の仕事が来たのでした。

美咲さんが仕事を持ってきてくれた。雑誌の表紙だ。一生懸命書いていたら、永瀬さんが来て邪魔する、する。
「絶対におかしい、急に認められるわけない。」なんてうるさいっつーの。
ドアのペンキがまだ残ってるから気になるとイチャモンつけてくるから、腹たって言っちゃったよ。
自分が書けないからなんだって。
「オレは今初めてスケートができたときみたいに、スイスイ描けて楽しくてしょうがないんです。あっちにいってもらえないかな。」
そしたら楽しいのもいまのうち、そのうちに描けなくなる、それがプロだとか言ってた。イヤなこというよなぁ。そんときはそんときっつーの。

その時香乃ちゃんがコーヒーを持ってきてくれた。香乃ちゃんを見る永瀬さんの顔!あの人のあんな顔初めて見たよ。優しくてはにかんでオレでもちょっとかわいいじゃない、この人って思うくらいの笑顔だったね。ははぁーん、あのときの100円ゲームか、と納得。
「そうかなるほどねぇ。この前の100円ゲームですね。」
「なんであんな子に、このオレが。」
「でも顔赤いし、いいねぇ、今いくつ?今どき中学生でもめずらしいよ。チューぐらいで。」
「チューなんてやめなさい。」
「恋愛小説の巨匠が!ベストセラー作家が!」
「いい加減にしないか!でないとこの腐った頭を爆破するぞ。」と照れ隠しにオレのこめかみをぐりぐりしちゃってさ。
その時チャイムが鳴って、香乃ちゃんが永瀬さんのコーヒーを持ってきてくれた。
「女神さま!あなたの女神さま」って玄関に永瀬さんを追い立ててやったよ。
香乃ちゃんたら、「あんまり鍋友さんの邪魔しないでくださいね。」なんて言うから、永瀬さんはドアが閉まってからちょっとため息ついちゃってさ。
そんな永瀬さんを見てオレは決めた。「一肌ぬぎますか・・・・。」

豊川さん!かわいいーい!そーきゅー!香乃ちゃんがコーヒー持ってきてくれたときにドアを開けたときの顔!

オレはユミちゃんと池谷くんに相談した。くっつけようよってユミちゃんは大乗り気。美咲さんは言葉ではいいんじゃないって言ってたけどあまり乗ってこなかった。池谷くんにも指摘されたけどオレはこんないたずらみたいなこと大好きだから、わくわくしちゃう。
作戦立てようと情報誌で調べてクラシックコンサートに目星をつけて香乃ちゃんに言ってみた。
「オレとデートしない?」
ちょっとためらってたけど、OKしてくれた。

で、そのコンサートの日、オレはすっかり忘れてて、喫茶店に下りていったら、おしゃれした香乃ちゃんがいた。バッカだなーオレも。よりによってその日に香乃ちゃんに会うなんて。適当に誤魔化して向こうで落ち合おうと言ったら、嬉しそうにそうするって言った。ちょっと心が痛んだんだけど・・・。

永瀬さんは出かけたか心配になって、コーヒーを持って行ってみたら、美咲さんがいた。
せっかく美咲さんがいたから、コーヒーも何だから美咲さんを誘ってビールにした。
ふたりで並んでビール飲んでるオレたちってちょっとCMっぽいなぁなんて。まあ、関係ないんだけど。
未来のアーティストに向かって、プーのくせになんて言って「ツケツケしてる私?」って美咲さんが言った。
「ツケツケ」なんて永瀬さんにでも言われたのかな。あの人が言いそうな言葉だ。
香乃ちゃんかわいそう。という美咲さん。でも酔った勢いとはいえキスしたんだから、まんざらじゃないよ。
それより美咲さんに「自分のこと好きだと思ってた?永瀬さん。」って言うと、
「んなこと思うわけないじゃん。」
「なーんか不満そうな顔してたけど、香乃ちゃん気がある永瀬さん見てたときとか。」
「そうやって人の顔色見てる人なんだ。」
「そういうこと結構鋭いのオレ。」
「気づいてて気づかないふりするの、いじわるだね。」
「すこしぐらいワルい方が魅力的でしょ、男は。」
「私はいい人が好きだけど。」
「わかんないよ。そういう人ほど、はまったりするんだよ。」
話してると何だか暗い気持ちになってきた。
「こんなことするんじゃなかったかな。」
「そうだよ。」
「どうして。」
「どうしてって後味悪いじゃない。」
「それだけかな。」
「自分はどうなの。」
「香乃ちゃんの嬉しそうな顔見たらちょっと心が痛んだけど・・・。あんたとこうしてビール飲んでるんだったら行けばよかったかな。」
「余計なお世話!」
美咲さんもオレもなんとなく感じてるところは同じなのかもしれない。

永瀬さんが書き損じた原稿を持ってた美咲さん。どうやら前に美咲さんが語った内容を小説にするしないってことがあったけどそれみたい。
酔っぱらってるのか美咲さんはそれを「ラブレターかな私への・・・」て言うから
「ただのラブストーリーでしょ。」と言ったけど、なんだかそうでもないような気もしたんだ。
美咲さんと背中合わせでため息ついてるのって、ちょっと変だよね。
それからも、ねころんでイラストを描くともな描いたりしてた。
美咲さんはため息つきながらそこにいて、話すことばもなくなっているんだけど、でも美咲さんは帰れなかったし、オレもなんだかそこにそうしていたい気がした。
永瀬さんがコンサートから帰ってくるまでは・・・。

第2話「モテない二人」 01/04/22
オレホントのこと言うと、彼女、香乃ちゃんに夕べ何もしなかったんだ、
飛んで火にいる夏の虫をみすみす逃しちゃったってゆうか。だから朝、反省と後悔といろいろ入り交じった感じ。ベッドで寝ぼけてオレの腕握ったりしてさ、もうどうすりゃいいのよ。
朝ごはんなんて作って食べさせちゃったり、オレ何やってんだろう。
おまけに、何もしなかったんでいくじがないなんて言われたよ。何だよまったくぅ!

喫茶店で永瀬さんのところに来た美咲さんとユミさんに会ったので昨日の話をついしちゃった。
鍋友「あんな思いっきり思いこみの激しい人やっちゃったら、一両日に結婚ですよ。」
美咲「結構相手の波に飲み込まれそうなタイプだもんね、鍋友さんって。」
そうかなぁ。人のことならよくわかるんですねって言ってやったけど。
ユミさんは「私の波に乗ってくれる?」なんて言うから「いつでも」っていつもの調子で答えたけど。本気かどうかわからないや。
そこに永瀬さんが来て、ゆうべのこと知ってるから何で?って聞いたら、香乃ちゃんが永瀬さんにわざわざ報告にいったんだって。なんなんだ、あの娘は。
でもおかしかったのは、永瀬さんお見合いしてその相手が美咲さんだったってこと。そんなことあるんだぁ。会社の池谷に美咲さんがしゃべったんで、永瀬さんが「なんで池谷にしゃべるんだ?」と聞いたら、美咲さん曰く、池谷は「毎日辛いこととかを話す玄関先にいる柴犬」だって。言い得て妙!
でも、なんと、香乃ちゃんがその喫茶店で働いてんだよ!どう思うよ、これ!

「地雷踏んだ」が出た。おうロンバケ!
美咲曰く「私って結構綺麗じゃん?」おっと、ストレート。
「この人が意気消沈してるとゲンキがでてくる」永瀬さん。おもろい。

オレは香乃ちゃんにはっきり言った。
「こういうことして怖いと思われると思わない?」
「誰にですか?」
「僕でしょ。普通さぁ、いきなり家にきたりそこの下のカフェに勤めだしたりっていうのはストーカーのやることだよ。」
「でも、そばにいたいなぁって思ったから。」
「ねぇ、何で僕なの?いくらだって男の子いるでしょ。」
そこに美咲さんが来てそれはどっちかって言うと口説いてるようと言われる始末。
美咲さんも言ってたけど、香乃ちゃんはやってることはストーカーだけどたたずまいはお嬢さん。思いつめる感じが少ないのであの日のことは夢だったのかと思うよオレも。
『ピンポーン、来ちゃった』攻撃をユミさんまでオレにしようかな、なんていうから、そんな獲物を見つけた野獣みたいなんじゃなくてちゃんとした恋しようよなんて説教もたれたくなるだいたい攻撃っていうことばが恋にでてくるのがおかしいんだよ。
なんか真面目風が吹いてきて、「心と心が重なりあうようなエピソードをいくつか重ねて、そして心が気がついて、そしていつの間にか恋に落ちちゃうんでしょ。」って言ったら、
「永瀬康の小説読んでんの?」って言われた。「まさか」って言ったけど。
「あの人あんな不毛な毎日送っててよくあんなピュアな小説かけるよな。」
「自分なんかお手軽なくせにね。」
「あれは恋じゃないですから、ま、一夜の恋ともいいますけど、」
「いいわねー。軽やかに、もてて。」
で、こないだ頼んだイラストのこと聞いたら美咲さん忘れてんだもんなぁ、頼むよなぁ。
そのとき合コンに誘われた。

ちょっと喜んだのに、知ってる人だけの合コン。でも合コンではがんばっちゃうオレだから。
100円ゲームとかやって、いろんな質問したら永瀬さんと美咲さんはぜんぶ×で、最後にここひと月の間にキスしたことがあるかないかっていう質問したら、二人ともすねちゃってさ、困ったさん状態になってたんだ。そしたら香乃ちゃんがいきなりからみ出しちゃって。
永瀬さんに、ひと月もキスしたことないなんて寂しい、次のラブストーリーが書けないのはそのせいだとか言い出した。そんで、あの子ったら永瀬さんにいきなりキスしたんだよ。びっくりしたよ。何であんなことできるんだろう。女の子ってわからないよ。
永瀬さんは帰っちゃって美咲さんは追いかけてった。
ユミさんが「香乃ちゃんって魔性?」だって。そうなのかなぁ、やっぱり。

ユミさんは今日は先週のミーハーぶりがなりをひそめてとても普通の人。

酔った香乃ちゃんを部屋に連れて帰った。なんかオレ何やってんだろうて思うけど。
ソファーに横になった香乃ちゃんと話をした。
「香乃ちゃん、オレのこと好きなんだよね。」
「うん、好きだよ。」
「好きなのになんでそんなに自然体でいられるの?泰然としてるっていうかどこ吹く風ぇって言うか、温泉入ってうーん、気持ちいいって顔してんだよね、いっつも。普通好きな人の前ってさ、もうちょっとそわそわしたり顔色伺ったりしない?」
「それは、鍋友さんだからですよ。鍋友さんやっぱもてるだけあって、女の子といっぱいつきあってるだけあって、すっごい女の子の気持ちわかってくれて、何か一緒にいて気持ちがカサカサしたり、痛くなったりしないんですよ。」
「それはさ、好きじゃないんじゃないの?」
「好きです。」
「じゃあどうして、永瀬さんとキスするの?」
・・・・・見ると、香乃ちゃんは眠ってしまっていたんだ。
なんかオレはめられてる?

「はめられてる?」かわいい!はめられつつある鍋友くん!

永瀬と美咲は偶然美咲がふられつつある彼に会ってしまう。落ち込む美咲は永瀬に、人に心を閉ざしている先生に私の気持ちなんかわからない、そんなだから書けないのだと言ってしまう。

今夜もやっぱり絵を描いてたら香乃ちゃんが起きた。
ギターを見つけた彼女に弾いてと言われて、なんか素直に弾いてしまうオレ・・・。

「コーヒーでも入れようか。」なんて超普通な台詞に何かぞくっとするわ。
慎吾のギター、最初ぎこちなかったけど、永瀬さんが帰ってきて隣の部屋から廊下に聞こえてくるのギターの音は別人のように上手だった(笑)

美咲は彼のマンションに女の靴を発見し、失恋が決定的となって、涙にくれたまま永瀬に電話してしまう。
「なんで先生なんかに」ってちょっと失礼じゃんかぁー。

第1話「飛べない鳥」 01/04/15
俺は鍋友恭二。24歳。クラブでDJをしている。
今朝起きたら廊下でクリーニング屋の声が聞こえたので、これ幸いといっぱい出しちゃった。誰のだかわかんない女の子の下着もあったけど、そのまま出した。めんどくさいのイヤだからね。
いいわーん、最初から上半身をたっぷり堪能(笑) 首のバフ(っていうの?)がトレードマークね。でも暑くなっても巻いてるのかな。
あ、これ?首にマフラーとかスカーフとかいつも巻いてるの。オレ。ちょっと芸術家っぽいだろ。ダメ?(笑)

初っぱな、美咲が歩いていた橋は、飯田橋駅の牛込橋。この橋の下に直江先生と倫子がお茶した喫茶店があるです。あぁ、まだひきずってる・・・(笑)。

今日も女の子がベッドに寝てる。この子なんてったっけなぁ。1Fの喫茶店から電話があって、外にまた女の人が立ってるからなんとかしてくれって。行ってみるとちょっとお姉さんな彼女、綺麗だけど。ごめんね覚えてない、ここに来られると困るんだと言ったけど、どうも話が見えなくて、彼女はなんと隣の永瀬康さんのところに来たんだった。珍しいなぁ、女っ気なんて全然ない人だからね、永瀬さんは。
あ、永瀬さんって人はね、2年くらい前には結構売れた小説を書いてたんだけど、ここんとこスランプ?で全然書いてないみたい。
ちょっと偏屈で、気難しくて、細かくて、出版社の人も手こずってるみたい。永瀬さんって指が長くて細くて、神経質そうな指してんだよね。見るからに。
でもね、結構イイ人なんだよ。イヤなヤツのフリしてるってゆうか、実家は下町のお煎餅やさんだし、ってそれは関係ないけど。

喫茶店で怖い顔して何か書こうとしてる永瀬さんをからかってたら、また女の子がやってきた。しょうがないから出ていった。
「ごめん、覚えてないや。」
「でもキスしたじゃないですか。」
「キス?」
「クラブの暗い階段でキスしたじゃないですか。」
「キス?・・・CHU・・・こんな感じ?」
ってやったらいきなり殴りやがって。本当に女の子って面倒くさくて困るよ。

話をするのに、女の子をひっぱってってそこにしゃがませるのがステキ!

彼女はほっといて、他の娘と仲良くしてたら、彼女、永瀬さんところに泊まったらしい。何考えてんだか。翌日永瀬さんに引き取りに来いっていわれたからしょうがなく行ったら、出版社の人が来てて、永瀬さんの担当が変わるの変わらないのとごちゃごちゃやってた。永瀬さんはもう担当なんかいらない、もう書けないって言うので、「読書感想文みないなもんじゃん、ちゃっちゃっと書いてあげれば?」って言ったら、「素人の君に何がわかる!」とどなられちゃった。ちょっとズキっときたなぁ。オレって見かけによらずちょっと弱いとこあんだよなぁ。

弟に飛び蹴りの兄ちゃん。豊川さんの飛び蹴り(笑)!実家に帰ると素直になれる永瀬。イイ感じで美咲にお茶を入れてあげたりして。

前の日に来てた出版社のお姉さんがまた来てた。永瀬さんはもう書けないんだから深追いしない方がいいよって言ってやったんだけど。
廊下で言い争いしてたみたいだけど、部屋に入れたみたいだ。どうなったかな。

指さし慎吾。クセだね〜。

なんか出版社の人が大挙して押し寄せてきたとき、おもしろそうだったからオレも同席したら、あのお姉さん、美咲さんって言ったかな、あの人の話になって、「ピンポーン、来ちゃった」攻撃する人なんだって。見かけは奥ゆかしそうなのにな。「それは男は退く退く。」ってつい言っちゃったよオレ。永瀬さんは「ピンポン、来ちゃった」を知らないんだもん。真面目に質問したりして、興味津々ってかんじだった。
なんかよくわかんないけど、永瀬さんがハーレクイーンロマンスみたいな小説を書くって言った。違和感感じたけど。
そのときに来てた豹柄の女の子、何なんだろう。東大卒って言ってたけど、ミーハーなやつでオレとは話は合いそうだったけど、ちょっとうざったいかな。

BGMがもろにロンバケ風味。

あ、オレ本当はイラストの仕事がしたいんだ。部屋中イラストでいっぱい。ポップな感じで自分ではイケてるとおもってるんだけど・・・。
だから、永瀬さんのところに来てた美咲さんに、見てもらうよう頼んだけど、どうだろう。「センミツ」だって。千に三つ。でもイラストで食っていきたいんだ。
このこと、永瀬さんには内緒にしてもらった。
フードかぶった慎吾がかわいい!
そんなところをあの子が来て見てた。
「このマンション、オレの親の。だからここに住んでんの。金持ちの典型的なバカなボンボン。がっかりした?」
「いえ。これ。黄色好きかと思って。」
黄色いチューリップを1本くれようとした。いらないって言ったもののなんか気になって戻ってみたら、もういなくて花が捨ててあった。ちょっと可哀想かなって思って、いや、花がだよ、拾ってやった。
コタニキンヤ、何か気になる。すごい出世じゃない?でもどう見ても血のつながった兄弟には見えないだけど・・・。 
永瀬らしくない小説に疑問を感じて出さない方がいいと言う美咲。美咲が忘れた資料の中に、永瀬の書いた小説をちゃんと読んで分析してくれているメモを見つけた永瀬は、それを読むと怒るどころかなぜか嬉しくなって美咲に会いに行く。ここのふたりの雰囲気がとてもいい感じ。不器用で言葉も出なくて。

イラストを出版社に持ち込んだけど、趣味で書いてた方がいいんじゃない、早く見切りつけた方がいいとか言われちゃった。結構おちこんだね。
断られたときの表情いいねー。オレンジのジャケットがかわいいし。
夜一人で飲んでたら、ピンポーンって。来ちゃった攻撃?まさかね、って出てみると、あの子がいた。
「来ちゃった。」
「マジ?」
「何かちょっと心配になって。」
「あんた、今来るの、飛んで火にいる夏の虫。」
「ラッキー・・・なんて。」
可愛くて思わず抱きしめた。
「いいよ。夏の虫でも。」なんて言うんだもんなぁ・・・。朝ちょっと反省したけど、まぁしゃあないよなぁ。
その時も首のチーフははずさないのね。いやー、初めて優香がかわいいと思った私。

なんだか永瀬さんの担当は結局、あの美咲さんって人と、豹柄のミーハー女の二人になったようだけど、どう考えてもあの豹柄女は必要ないよなぁ。見てると永瀬さん、あの美咲さんとの言い合いが結構楽しそうだね。これは、ひょっとすると・・・?と思っちゃうね。
でも永瀬さん見合いするってホントかなぁ。
それとついでに言うと、創文社の池谷ってオレと同じくらいのヤツ、ちょっと気になるな。真面目なんだろうけど本当はおもしろいヤツのような気がするんだよな。

30歳で振り袖?お見合いに相手の素性をまったく知らされずに、振り袖で行くの?なんか変なの。でもすんごいきれーい。

最初のメイキングは余計だったね。日曜劇場の扉が変わって「♪あなたといっしょに・・・」でなくなりました。なんかホッとした。白い影と完全決別できる。
豊川えっちゃん、さすが。やっぱり。こんな軽いコミカルな役もその存在感は変わることなく、ドラマ全体をぎゅっとひきしめているみたい。すごくキュートなキャラの永瀬。それにしてもそばかすがすごいのね。なんか親近感♪というかトシとったというか。


ドラマ館Top