第1回ごちばとる

party

2月のある日、たねがしまこ、SHU、mayukiはスキー場の宿でテレビを見ていた。金曜日日本テレビのぐるぐるナインティナインの人気コーナー「ごちばとる」である。
SHUは生まれて30ウン年、何を食べても「うまい!」と感動する誠に安上がりな男である。テレビを見ていて「うまそぉー。」とつぶやき、「これ、やろ!」と言い出した。でもテレビでは負けたらへたすりゃ10万円以上の出費である。そりゃ一般人には無理と言うもの。そもそも、こんなことをできる店があるかも定かではない。そのときはそれで話が終わっていたが、1ヶ月後、情報誌に「ごちばとるできます。」の文字を見つけたたねがしまこは早速みんなに打診、春もたけなわのある日、おばかな連中は第1回ごちばとるを決行することとなった。


選手紹介 
1 みっちゃん:ヤクルトH捕手に似ている。が、同じような洞察力があるかは不明。
2 SHU:ファミレスでどんな料理を食ってもうまいという男。
3 たねがしまこ:唯一の独身だが意外とマメ。今回幹事だが特に有利ではなさそう。
4 セーコー:金がかかると異常に勝負強さを発揮するヤツ。
5 mayuki:わたくしです。ミーハーで不良な主婦?

司会:おーるちゃん:セーコーの妻らしいが、ヒマさえあればスキーに行っている。


場所は居酒屋G。メンバーは誰も行ったことがないので、通常の料金を知らない。これは最低必須条件である。狭い店内に入ると、カウンターの頭上の壁に貼ってあるメニューの金額の部分はすべて白い紙が貼られて見えないようにしてある。さすが手が込んでいる(そうなのか?)。一段高くなった座敷の方に今日の戦いの場がしつらえられていた。クリアーケースに入った「ごちばとる用メニュー」を見て、全員が思った。「これ、ふっつーじゃん!」刺身、揚げ物、煮物、焼き物、酢物、当店おすすめ・・・・なぁーんの変哲もない居酒屋メニュー。金額が書いてないだけ。特別メニューで値段の見当もつかないような、「活き車エビの天ぷら」とか「白魚のおどり」とか「合鴨のわさび焼き」とか「エスカルゴのブルゴーニュ風」なんてぇのはじぇんじぇーんないのであった。これで果たして差がつくのだろうか。勝敗は10円単位の差で決まるのでは?と心配しつつも、司会のおーるちゃんの乾杯の音頭で今回の幕は切って落とされた。
           
そば順番を決めるでもなく、全員が静かにメニューを見ていたが、セーコーの突然の第一声。「さえずり、カツオトロ」おーっと!いきなり2品同時!!通常メニューとは別に書いてある「今日のおすすめ」のメニューの中から選んだらしい。飲みに行くと通常メニューよりそっちを選んでしまう人間のサガが出た形か?

続いてSHUが「いさぎ」と「なんこつ」、たねがしまこが「ながれこ」と「タイ」をオーダー。やはり今日のおすすめが中心になっている。あとの二人は人が注文した品を見てからのオーダーにしよういうセコイ戦法をとろうとしているらしい。
あっという間にながれこ(煮付け)が来た。あまり大きくないが5個入り。さっそく1200円と予想するたねがしまこ。
それを聞き、みっちゃんはおもむろに「ながれこ」と、「揚げ出し豆腐」をオーダー。おーっと定番の揚げ出し豆腐。これなら値段はどこも一緒とばかりに「380円」と細かい数字を言うみっちゃん。「ながれこ」は750円と。ちょっと細かい男である。
セーコーは、刺身2品は、メニューの書き方からしても、同じ値段だと言い、「さえずり」、「トロ」ともに800円という予想。これが最後まで足をひっぱることになることを、このとき誰も気づいていなかった。
mayukiは「いさぎ」の刺身と、値段のわかりにくいものを頼もうと、「自家製カニミソどうふ」をオーダー。
SHUは「いさぎ」を800円、「なんこつ」を380円と予想し、たねがしまこは、みんなと同じく「刺身は800円!とばかりに、「タイ」を800円と予想。
mayukiの「カニミソどうふ」は大きさは豆腐半丁くらいで、確かにカニミソが挟まれていたが、厚みが1.5センチくらいしかない。要するにぺったんこ!しかしうまい!やっぱり値段予想しにくい一品であった。でもどうせ居酒屋!と開き直って「600円」。実際は500円だったのでいいところをついている。もうひとつの「いさぎ」はみんなの「刺身は800円」に対抗して700円としてみた。

この時点で、一番正解に近いのはみっちゃんで30円差であった。そして一番遠いのは、「ながれこ」を1200円と予想したたねがしまこが二品ですでに300円差!その後ちょっと考えたたねがしまこは、「ながれこ」を980円と下方修正し、正解との差は80円に縮まっていた。

今日のひっかけ野郎と思われた「ながれこ」の実際の値段は700円。1200円のままにしておいたらたねがしまこはどうなっていただろう。

そして、3品目をオーダーしているとき、店の人の思わぬフライングが!
「1000円以上はないですよ。」
えええーーー!!!!1000以上はない?!このことばに敏感に全員が反応する。誰ともなく言い出した「刺身は800円」が妙に定説と化してしまった瞬間であった。

そしてなぜだか、「500円以下はない」というデマが飛び出し、そのデマに翻弄される人間たち!

そんなこんなで戦いは進められた。

さて、食べ物が着々とたいらげられていくということは、飲み物もごんごんと飲まれていく、ということ。
ビール、酒はもちろん、韓国の焼酎「ジンロ」を飲む。これ、おーいしーいー!クセが全然なくて、ぐいぐい進む。酔っぱらってくると値段なんか考えるのが面倒になりつつも、バトルは続く。

みっちゃんは「山芋短冊」、「タコわさび」、「もずく酢」というような性格を表すような小物狙いで、それほど大怪我はしないだろうという感じ。
SHUは最後にご飯ものという飲み会の定番コースをはずすことなく、「カツオ丼」で閉めようとしたが、「卵焼き」の魅力に勝てず、これが余分!という結果になりそう。
たねがしまこは地道に攻めるも、「ホタルイカの塩から」にひっかかり、最後までその判断に悩みつつ、ラストにオーダーした「もずく酢」を170円という、そりゃないだろという値段に落ち着けた。
セーコーは、「トロ」、「牛タタキ」、「まぐろカマ」を800円、900円、700円と予想し、「800円狙いうち戦法」で、少数精鋭という感じだったが、これがどう出るか。
mayukiはひとつひとつの値段にはさほど固執せず、トータル論で攻める。たとえば「ほたるいかの塩から」は実際400円のところ800円と予想したり、6品目で予想4000円になったにかかわらず、妙にトータルではまだ余裕があるような気がして、最後に「川エビ」を追加したり、という女のカンに頼った感がある。
途中、「慎吾ママのこっそり朝ごはん」の解説をしたりしてかき回そうとしたが、みんなに「mayukiのSMAPマジックに乗るな!」と警戒され、S姉さん攻撃に合う始末。
総じて言えば、最後に余分と思われるオーダーをしたヤツが多かったが、これは自分が4000円以下で終わるのは絶対イヤだという判断に基づいたものであろう。

転んでもタダでは起きないヤツラは、このバトルとは別に、あらかじめウマ予想をして、馬券を買っていた。
ビリとビリ2を当てる連勝単式。
下馬評では、ファミレス男SHUが本命。さすがに居酒屋経験が少ない(他の人に比べて、と言う意味であり、一般の女性にしてはかなり多いと思われるが)mayukiが対抗。穴はたねがしまこ、という感じであった。セーコーはその勝負強さから、みっちゃんはその冒険しない性格から、連にからんでこないと思われていた。
1口500円、全員最低2口は買うということで、一人勝ちなら6000くらいの収入になる。
終盤にさしかかり、みっちゃんは何を思ったか「もう一口買う!」と追加購入。みっちゃんはこういうヤツなのだ(笑)。

さて、全員がSTOPマーク(手振りで)を出し、終了ー!!
店による集計の結果、おーるちゃんによる結果発表ぉー!

闘いのあと

第1位 mayuki!  4100円 (うひゃっひゃっひゃっひゃ!女のカンの勝ちぃー!)
第2位 みっちゃん! 4350円 (予想たがわず、小物狙いが功を奏す!)
同率  たねがしまこ! 4350円 (「ながれこ」の下方修正はそれほど影響なし!)
そして、第4位 SHU! 4400円  (最後の「卵焼き」は余計だっつーの!)

そして、輝くビリ!  セーコー!!! 5050円ダントツだぁああー!!
敗因は、やはり「800円狙い打ち戦法」     支払い
店の人は「1000以上はない」と言ったのに、実際はなんと刺身連中は一品1000円だったのだ(さえずり以外)!つまり「トロ」、「牛タタキ」、「まぐろカマ」は1000円!!その3品で600円の差。「以上はない」に惑わされた恰好か。「以上」と言わず「より高い」と言ってくれれば少しは違ったかもしれないが、もうあとの祭り。
笑顔で22,250円を支払いつつ、リベンジを心に誓うセーコーであった。
「ごちになります!!」

ちなみにウマは4−2。追加購入というセコイ手を使ったみっちゃんが獲得。追加の分は関係なかったが当初に買っていた分が当たっていたらしい。みっちゃんはこういうヤツなのだ(笑)。

そんなこんなで楽しい第1回ごちばとるは幕を閉じた。
そして今回はこういう教訓を学んだのである。
 1 居酒屋のごちばとるは値段の差がつかずセコクなる!
 2 飲み過ぎは判断をにぶらせる!
 3 他人の意見に惑わされるな!

<結果表>

 氏名    1品目  2品目  3品目  4品目  5品目  6品目  7品目  8品目 付出し  合計
みっちゃん  品名 ながれこ 揚出し豆腐 山芋短冊 タコわさび カニミソどうふ 甘エビ ぞうすい もずく酢    
 予想 750 380 280 500 500 800 600 300   4110
 正解 700 *400 400 400 500 800 500 400 250 4350
SHU  品名 いさぎ なんこつ 焼きめんたいこ エビマヨ 揚出し豆腐 イカダンゴ カツオ丼 卵焼き    
 予想 800 380 400 700 500 400 700 100   3980
 正解 1000 400 350 700 *350 350 650 350 250 4400
たねが
しまこ
 品名 ながれこ タイ ほたるいかの塩から マグロのカマ みそ煮込みうどん もずく酢        
 予想 980 800 600 900 650 170       4100
 正解  700 1000 400 1000 600 400     250 4350
セーコー  品名  さえずり カツオ
トロ
牛タタキ ながれこ マグロのカマ もずく酢        
 予想  800 800 900 800 700 400       4400
 正解 700 1000 1000 700 1000 400     250 5050
mayuki  品名 カニミソどうふ いさぎ つくね
ノリ巻き
カツオの変わり揚げ ほたるいかの塩から ながれこ 川エビ      
 予想 600 700 600 500 800 800 300     4300
 正解 500 1000 400 450 400 700 400   250 4100

*ふたつの揚出し豆腐の正解の値段が違うのは理由不明(笑)!
          →400円のは普通の揚げ出し豆腐、350円のは揚げ出し卵豆腐だったと判明!
*この色は予想と正解単価がピタリ賞


さて、私は後日この模様をホームページにアップするべく、当日の記録を見返してみた。そうすると、意外なことに気がついた。
なんと、メニューの実際の金額を合計したら、上記の合計金額に全員が合わないのである。
全員250円下回るのだ。なぜ?
・・・伝票をじっと見てみると・・・一番上に「付」の字が。・・・あーー「付きだし」!!
ということは、みんなが実際にオーダーした品の合計は、上記の金額から250円引かねばならない。
となると、私は3850円?みっちゃんとたねがしまこは4100円で同率1位?SHUは4150円で、私と同率3位?あれ?4000円に満たなかった私はえっらい損したような気分だった。

でも、ビリはいっしょだぁー!!