情熱大陸 08/11/30
ピンクのニットキャップとTシャツの写真(会報NO.87の大きな傘のようなレフ板の前での写真)
中居正広・・・自筆。
金スマ控え室。午後2時半。
「さあどうするんだろうなーこれ。」
よく見るトリコロールカラーのキャップ。壁一面にずーっと横に長く貼ってある鏡の前の回転椅子に横に座って背もたれに身体の左側を預けて、頬杖。天井近くに設置されたテレビの野球中継を見てる。
Na:本番前の控え室
「まっすぐかなー」
Na:時折聞こえてくるのは本職顔負けの解説だ
「このあとインサイド落ちる球じゃないかな・・・」「(ピッチャーが投げる直前に言う)落ちる球だ」
バッター空振り!
スタッフ「インサイド落ちる球、当たりじゃないですか!当たりましたね」
うんうん、って顔したかな、映ってなかったけど。
こちらのスタッフのほうを向いた顔にはメガネ。破れジーパン。
ス「中居さん、野村監督の本が愛読書なんですよね」
「好きだね。野村ノートもそうだし、集団っていうのをテーマに、集団で誰かと闘う時には、みたいな。グループとちょっと似てるなみたいなところもあったりして、うん、いろいろと引用することもありますよ」
向こうを向いてたばこを取る。
パックのお茶を持つ。
「実はそんなにジャイアンツのやり方あんまり好きじゃない」お茶のパックをごみ箱にポンと入れて「いっぱい選手(ひと)をもらっちゃう。でも応援すんだけどね」
テレビを見てる横顔
Na:中居正広。何も考えていないふりをしながらいつも何か考えている。
字幕『SMAP 結成1988年』
Na:SMAP。結成されて今年で20年。活躍のほどは説明するまでもないだろう。
画:今年のアルバムの写真。モノクロにどこか一か所赤が効いているやつ。
Na:そのスーパーグループをリーダーとして引っ張ってきたのが、中居だ。芸能界の王道を歩きつづけてきた。
画:中居・仲間紅白司会の記事
Na:役者としても、数々の名優が演じた不朽の名作を今に蘇らせ
画:直江先生、次に和賀英良の写真
Na:ただのアイドルに終わらないことを証明してきた。その中居が今年挑んだのは、50年前に書かれた傑作、「私は貝になりたい」。
画:私は貝になりたいの映像
Na:戦時中、軍に召集されたひとりの平凡な父親。男は上官の理不尽な命令でとった行動により戦犯となってしまう
画:貝『アナタハ、ホリョヲ、コロシタ。コウシュケイ』のシーン
Na:戦争の愚かさを静かに訴える渾身の演技だった。
画:隠岐 5月26日撮影最終日
Na:中居とは何者か。興味を覚えたのは、クランクアップという晴れの日、PRのため集まった取材陣に語った言葉だった。
映像:
映画スタッフ「中居正広さん!以上です!クランクアップです!」両手を上げて応える中居さん。拍手。
Na:過密なスケジュールを縫って半年かけて臨んだ現場。
花束を持ったまま監督に抱きつき、その後から健坊が抱きつく
Na:さぞや万感迫る思いがあったに違いない。が、中居は。
『コメント撮らせてください』『終わられてみて、どのような?』
「いや、できてみないと分かんないですね」両手を頭に乗せて。
「これあの、今の段階で是非ともごらんください、是非とも映画館に足を運んでくださいっていうのは、ちょっと何かコメントがうさんくさくなるなと思って。
1本のね、映画になってからじゃないすかね」
「お疲れ様でしたー」と去っていく。
Na:冷静だった。
膝を抱えて座っている。
「なんすかねぇ。まあちょっと天の邪鬼なところもあるかもしれないですし、恥ずかしがり屋なのかな、うーん・・・」
「食べてない料理をどうぞ食べてください、おいしいですからって、あんまり言うのも、ね。やっぱりそこはちょっと嘘つきたくない所かもしれないですね」
「いつでも質問してください、いつでもだいじょぶなんで。基本は。どうも!」と笑顔で言い残して向こうへ。
字:
SMAP
中居正広
という男
字『file.01 16歳で選んだ道』
画:金スマ収録中
Na:今、番組を仕切るMCとしてテレビ、ラジオを含め9本のレギュラーを持つ。キレのいいトークが身上だ。
画:黒バラ収録中
Na:SMAPの中で、自分の生きる道としてMCを志したのは、わずか16歳の時。以来、テレビのプロとして腕を磨いてきた。
画:廊下を歩く中居。追いかける情熱カメラ。エレベーター前で。
「これ、何分番組ですか?」
ス「24分3秒ですね、正味」
「あ、そうなんだ」
エレベーターに乗りながら「24分かぁ・・・」
Na:何か思うところがあるのか。
<あるね。24分をどう乗り切ろうか、どういうテンションで行こうか、どうごまかそうか、などと考えてるに違いないわ。>
字『file.02 レタスは語らない』
画:楽屋のドア「出演者控え室P」の下に「中居正広様」の紙がマグネットバーで貼ってある。
Na:打ち合わせが始まった。この日の収録は、1時間番組を2本。あのキレのいいトークを生み出すにはどんな下準備があるのか。
画:楽屋(和室)。かわいらしいかんじの衣装がいっぱい鏡に映ってる。
スタッフと打ち合わせ中。白いハンティング、グレーのパーカー。赤いたばこの箱を手に取る。
字『ひとりで台本に目を通し始めた』
たばこには吸い口にフィルターらしきものをつけてる。<いつもなのかしら。>
Na:ペンを手にするようすはない。ページをめくりながら軽く目を通すだけ。
<この時、絶対カメラを意識して、こういう顔をしてるんだろうな、この人は>
字『数分後』
「はい、大丈夫です」
ス「もう大丈夫なんですか?」
「はい」
ス「大体入ったんですか」
「大体入ります」ニヤッ。
ス「ホントに(笑)」
「本当に大体入ります」
ス「流れが入るんですか?こんなこと言うってところまで入るんですか?」
「こんなこと言うみたいなところまでですかね。僕なんか本当に雰囲気ですから。あのー、できてる雰囲気ですね」
鏡にピンクのかわいいポロシャツがかかってる。
「このメッキはいつか剥がれると思うんですけどね。SMAPでいるからまあ、何とか助かってるみたいな」
字『妙なたとえ話が始まった−』
「たとえばハンバーガーとか、すごくおしいじゃないですか。だけど、中身開けたらなんか、あんまり見ない方が良かったな見たいなときがあんじゃないですか」
字『SMAPハンバーガー論』
「こうめくって、サラダ1枚取って、肉1枚とか見てると、うわーこんなの見る必要なかったな、みたいな」1枚1枚めくる仕草。
「そういう中の、僕はホントレタスみたいなもんで。だから、ぼんやり見てるほうがいいんじゃないですか。あんまりグワーっとか見られると」
ス「何か煙に巻かれそうな瞬間が・・・」
「ふはっはっはっは(笑)。いや、違います違います(笑)」
コンコンとドアを叩く音。
立ち上がりながら「おはようございます!」
鶴瓶「失礼いたします。こないだは本当にありがとうございました」
ごにょごにょ言いながら頭を下げる中居さん
鶴「うちの嫁がすごく・・・」ゴルフのことでしょう。
「情熱大陸です」
鶴「え?何で情熱大陸やの?今さら。何にも情熱あらへんがな。何の情熱やの。情熱なんか全然ないよ!冷めたことばっかり言うよ、本当に」
「絶対言っちゃだめですよ(笑)」
出て行く鶴瓶さんを笑顔で見送り、うんうんって頷く。
Na:収録が始まった。
仰天ニュースの収録。ビデオコーナーから出ていくところ。
さっき楽屋にかかってたアーガイルのセーター。
Na:とたん、もうアクセル全開だ。
オープニングトークは一緒に行ったゴルフの話。7月30日のO.A.
字『鶴瓶師匠とゴルフに行った話で盛り上げる』
Na:大先輩が彼をこう語る。
Na&字『どう見せれば視聴者を惹きつけるか分かってる。あいつにはよう怒られてます。でも実際やってみるとあいつの言う通りのするのが一番ベスト((ぴあ11/20号 笑福亭鶴瓶インタビューより)』
客席のほうに向ってはけてくる。ピンマイクをはずしながら。
Na:が、その裏側にあるものを中居は語ろうとしない。
字『6月27日 日本テレビ』
車から降りて建物に入る。黒バラの出前企画で出前のバイクが入ってくるところみたい。
黒ずくめ。ハンティング、サングラス、半そでパーカー。肩に白いウエストポーチのようなバッグ。高知ロケの時も持ってたやつ。
Na:この日は質問を変えてみた。スタジオと自宅を往復する毎日。愚痴ぐらいあるだろう。
エレベーター前。
ス「体調はいいんですか?」
「体調は全然悪くないです。悪いのはあんまり分かんないです」
ス「悪くてもわからない?」
「気づかないです。無視してますね」
ス「自分で?」
「へへ(笑)『馬鹿は風邪ひかない』んじゃなくて、『馬鹿は風邪に気付かない』と思います」
Na:また、はぐらかされた。
廊下を歩いて行く後姿。
字『file.03 語らない理由』
Na:8月。北京に向かった中居を追いかけた。
鳥の巣の前で五輪番組のオープニング本番。衝撃の髪を見た、あのときの映像。
「いよいよ、北京オリンピック開幕いたしましたー!」
字『オリンピック中継のMCは、アテネ、トリノに続いて3回目』
Na:オリンピック中継のMCはこれで3回目。どんなに忙しくてもこの仕事は引き受ける。アスリートへの敬意があるからだ。
字『北京オリンピック IBC国際放送センター』
笑いながら、何かしゃべりながら部屋を出ていく。手にしたタバコをくわえながら。
<ここは、禁煙じゃないのか?しかし、いい笑顔。>
Na:時間がないため、打ち合わせも放送直前だ。
アナウンサー二人と向かい合わせにソファーに座り、こちら側にスタッフがいるらしい。資料を見ながら話を聞いている。
オリンピックスタッフの声「まず8時56分30秒ぐらいにですね、中居さんご感想といただければと思います」
「はい」
オリンピックスタッフ「10秒でコメントをまとめていただきたいと思います」
「はい」
オリンピックスタッフ「それから、そのあと女子バレーの・・・」
Na:細かい段取りが一気に説明されていく。
厳しい顔で資料を読んでいる。<あぁー、素敵です。しかし、これも作った顔(笑)>
Na:中居はそれを桁はずれの集中力でとまどうことなく頭に入れていく。そのことへの驚きを伝えた時だった。
同じ場所でタバコの灰を灰皿に落としながら。
「オリンピックはMCって感じじゃないですけどね」
ペットボトルのふたを開けながら、「メインはやっぱり選手ですからね」
ス「スポーツ選手への尊敬はちょっと高いですよね」
「だって、いろんなこと犠牲にしてますからね。いろんなこと我慢してんでしょうね」
ス「中居さんだって、日常の中で本音を我慢してる時って長いんじゃないですか?」
「本音、そんな言わなくてもいいんじゃないですかね」
資料のページを膝の上できちんと整えながら。
「本音?んー・・・」
またタバコ。
「いやー、実はさぁって。今だけ稽古して練習してっていうのは別に。そこはドキュメントにしなくてもいいような気がしますけど」
煙を吐きだして
「いや、こないだの27時間かな、やっぱり。さんまさん見てて、頑張れーとか、うわっ辛いだろうなーっていうのを全く感じなかったんですよね。それってすごいですよね。僕も27時間ってやらせてもらったんですけども、ファックスが届いてます、頑張って、中居くんみたいな。で、たぶん、僕もつらそうな顔が出てるんだろうなって思うし、頑張ってる姿を見てもらいたいとか、っていうのがどっかで(頭を指さして)あってやってるんでしょうね」
「さんまさん見て、全くがんばれって思わなかったんだよな。面白くて。なんだろな、そこが怪獣なんでしょうね」
資料を持って立ち上がり、隣の部屋へ。
<そんな怪獣にならなくていいのよ、あなたは。>
Na:とは言え、頑張ってる姿は見てみたい。
字『file.4 尊敬する人』
コンクリート打ちっぱなしのスタジオらしきビル。
Na:10月ある日
字『スチール撮影の休み時間』
地下室から外に続くようなコンクリートの階段に座って電話中。「あ、もしもし。はいはい?どうしたの?」「3時から麻雀?」「行かないっしょ(笑)」「来ても別にいいけど」
携帯ストラップはあの例の水色のフェルト人形のような、あれ。
携帯をたたみながら立ち上がる。
ス「お父さんなんですか?」
「お父さんが代々木上原のね、フリーマーケットにいるんだって」
<シャツのボタンを4つぐらいまで開けててカッコイイんですけどぉ>
「今仕事場にいるよって言ったら、行ってもいいかいって言うから」
ス「撮ってもいいかい?なんですけど」
ボタンを留めながら首をかしげて「知らない」<・・・この言い方好きだわー!>
Na:10分後。本当にお父さんが友達を連れてやってきた。
衣装は貝のオフィシャルブックのインタビュー写真の衣装。この撮影だったんだ。
「うちのお父さん」
お父さんが頭を下げながら「いつもお世話になります」
「代々木、代々木公園?北海道フェアがあったんだって。北海道出身だから」
Na:息子の晩御飯用にと、魚を買ってきたのだと言う。
袋から買ってきたものを出して見てる父と息子。
「オレシャケ持ってくわ。一個でいい、一個でいい。」父はもう1個渡そうとするけど。
写真:赤ちゃん帽子をかぶった女の子ような子。
字『1972年 神奈川県藤沢市に3人兄弟の末っ子として生まれる』
Na:3人兄弟の末っ子としてずいぶんかわいがられた。野球が好きで勉強は苦手。
写真:家の前の路地でバットを構える正広。友達がキャッチャーと審判。
Na:そんな息子に父はこう教えた。
字『何をやってもいい。自分で責任を取れ』
Na:この言葉があったから、今がある。
さっきのスタジオ。
「親父、親父!」と向こうのほうにいるお父さんを呼ぶ。
「こんなところで撮ったことねぇって言うから」父の肩を抱いて撮影位置へ導く。
綺麗なブルーグリーンのバックの撮影位置で、何やら説明?して、父の肩に手を置き、写真を撮ってもらう。
Na:最近よく思い浮かべるのは、家族みんなでまた一緒に暮らすこと。
ス「はい、チーズ」フラッシュ。
「1枚。遺影、遺影」
父「遺影」
「遺影、遺影に撮って(笑)」
父が撮ってもらう。
「これ、遺影ね」
エレベーターまで送ってバイバイと手をふる。「タクシー・・(聞こえず)。(友達の方に)どうも」
Na:束の間、いい親孝行になった。
撮影に戻る。「申し訳ございませんでした。親父の遺影が撮れたんで」
なごむスタッフ。笑い声。<こんな仕事場、なんかいいなー。中居さんだからでしょ。>
自分の立ち位置へ。
Na:10月中旬、映画のキャンペーンが始まった。通常5大都市を回る程度だが、今回は28か所。中居の仕事を間近で見られるこの長い旅の間に何かを見つけたい。
映像はスケジュール表ですが、全部1日ずれております。実際はこのスケジュール表よりすべて1日早いです。
単なる間違いなのか、どうかわかりませんが。
字『file.5 コピー紙』
Na:中居を中居たらしめる具体的な何か。
高速を走るワゴン車。
字『10月10日 テレビ山梨(UTY)』
バスから降りてくるねぼけた顔。ショルダーバッグみたいなのに、ジャラジャラとチャームみたいなのがいっぱいついてる。
Na:初日は山梨から。地元のメディアが一斉に集まった。ニュースや新聞はもちろん、バラエティ番組もある。すべてぶっつけ本番だ。
字『10月10日の日程』・・・以下、分刻みのスケジュール。合計11項目ある。11:15から始まって、最後は長野の18:15の地元新聞取材。
ジャイさん登場。
「バラエティ番組ですか?」
ス「ニュースです」
「ニュース?」
Na:ニュースならきちんと伝えておきたいことがある。
字『テレビ山梨 ニュースの星』
インタビューの様子。「これ(清水豊松)、本当に日本の、普通の男性。世界各国でこういう思いをしてる人が、何千人、何十万人、何百万人っていらっしゃるわけですから」
<何百万人もいるのかしら・・・とふと思いましたが、過去からの累計だったらもっとすごいだろうし、原因が戦争だけじゃないかもしれないし、ま、いいか>
「戦争っていうのは、何かひとつにして、死者が何人でしたっていうことじゃないんじゃないかなって」
スタジオ変わって。
字『長野信越放送(SBC) 「3時は!ららら♪」』
Na:バラエティにはバラエティのノリがある
画面ではいきなり「♪土佐ぁのぉ〜よぃーこーのー・・・」って歌詞も違うし(笑)。
字『劇中中居が歌う「よさこい節」。音程を合わすために何度も撮り直した』
画面は、珍しい、中居自身が見ている大きなモニター画面。「ぼんさぁ〜ん、かんざぁしぃ〜」目をつぶっておりますが。
字『11月2日 沖縄 合同記者会見』
Na:この日の会見場は妙に空気が固かった。
中居さん、見まわして、ちょっと考えて。「これ、皆さん、もっと近くに来たらどうですか」
黒ハット、黒ジャケット。
立ち上がって「絶対近いほうがいいですよ。スッカスカで、あれですから、ちょっと椅子、皆さん、前に来て。もっと近い方がなんとなく。どーんと前で。、カメラさん、もっと前へ、前へどうぞ」
「マイク必要ないですよね」
<この沖縄の会場をセットした人は、感激したか、それとも怒られたか。しかし、中居とは、こういうヤツなのだ、と、嬉しくなるのです>
字『長野清泉女学院 試写会&舞台挨拶』
Na:どうせやるなら徹底的に。その覚悟を見せられたのがここだ。舞台挨拶が始まってもステージ上に姿はない。
ジャイさんがしゃべっている。
会場真ん中の通路にしゃがんでるメガネとマスクの中居。
Na:スタッフにまぎれてここに潜んでいた。自分で演出したサプライズだ。
会場スタッフの声「今日は残念ながらいらっしゃらない中居さん、と、周りを見渡してみても中居さんは・・・」
学生たち「えー?えーー?」そわそわ。
立ち上がってマスクをはずして、キャップを斜めにし、大きく手を上げる。会場騒然。
追いかけてくる女の子から逃げて走って舞台の上に転がりあがる。
Na:何事もおもしろくなければならない。が、おもしろいだけで終わらないのも、また中居だ」
ステージ上で話す。
「今回もこの映画の話をもらった時に、非常にできるかできないか、不安でした。ただ、やってよかったなって。というのも、必ずしも成功というのはどの人にも約束されてないと思いますが、その成功を目指して失敗しても、成長は必ず約束されてるんじゃないかなと思います。みなさんもいろいろあると思いますが、一歩踏み出す勇気をもってこれからの時間を過ごしていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました!」
お礼。
<偉い子やねー・・・。>
花束を持って手を上げて上手にはけていく。
Na:アドリブでするする出てくる言葉ではない。中居はどこかでしっかり準備しているに違いない。
字『東京渋谷 雑誌合同インタビュー』
Na:この日、その一端を垣間見た。
記者たちが集まった会場からパーンして廊下を映すと、椅子に座ってタバコを吸っている。少々お疲れのご様子。
マネージャーに「オレのさ、***にメモ帳あるから、それ持ってきてくんない?」
何やらくしゃくしゃになった紙を広げて読む。
Na:コピーの裏に何かがみっしりと書きつけてあった。
後からカメラが寄っていくと。
「ダメだよ、見ちゃ」と隠す。
口をちょっと尖らせて読む中居。
Na:何が書かれているのか。
字『金沢 北陸放送(MRO)』
日本庭園での撮影。
Na:しつこく取材を続けた。
待ち時間。タバコを出しながら」
「30分番組でしょ?実質24分なのに」
Na:覚えていた。
字『数か月前に話した番組の尺を覚えていた」そりゃ、覚えてるっていうか、長年やってるプロだもん、知ってるでしょ。
「何時間ぐらい撮ってんですか、これ」
タバコをくわえたまま、移動。「まだ撮ってんのか・・・」
Na:そう言いながら、中居はちゃんとインタビューの時間を割いてくれた。
字『file.6 コピー紙の裏』
Na:夕食を兼ねてのインタビュー。焼き肉はどうか、と聞くと、手頃な店なら、という返事だった。
コンクリート打ちっぱなしのおしゃれっぽい店。外観は焼き肉屋には見えませんが。白い半そでTシャツ、背中に英文字、ななめがけバッグ。黒ニット帽。
英文字は・・・『Should I have smiling eyes today?』・・・「私は今日も笑えてる?」みたいな感じ?
席について、Tシャツの袖をちょっと折って。
「全然とんでもないです。普通の肉でいいっすよ、僕。高級な肉がダメなんですよ。これホントにダメなんですよ、僕。安いほうが絶対うまいと思う」
食べる。「うん。おいし」
大きなコップで飲んでるので、これはビールじゃないな。ウーロン茶かも。
Na:中居にいくつか聞きたいことがあった。
Na:インタビューが始まった。
ス「SMAPのメンバーって大変なんですよって話を記者会見でされてるじゃないですか」
にこやかな表情。
Na:初めに聞きたかったのは、ここまでの取材が中居の素の部分をわずかなりとも捕えているかどうかだ。
ス「このカメラは、どのくらい(中居が)ホントっぽく映ってるのかなって」
「すごく言ってることはわかります。あのー、捉えられない感じっていうのも」
「なんすかねぇ、そういう風に思われるようにしようと思ってるわけじゃないですけども、なんか自然じゃないんですよね、なんかね」
「どういう風に映し出されるのかなとか、どこまで素を出すのかとか、どこまでキャラクターを守るのか、だとか。
意識がないことはないですから、僕は」
「なんすか、根拠を持ちたいっていうのはありますけどね」
字『根拠を持ちたい』(ブラックバックの真ん中に書いてある)
「オレのカバンある?ちっちゃいの。メモ見せましょうか」
Na:その根拠。
「中身は見せないですよ」カバンを探ってあの紙を出して広げる。赤で書いてある丸っこい文字が見える。
Na:キャンペーン中持ち歩いていたあの紙だった。
「これは、2月21日のスマスマのスケジジュールですね。20日と21日」
2月21日木曜。『薔薇のある花屋』12:00に茶の間部分ドライ。2月20日のほうは見えず。
「そんときに、どんなん・・・、異常に書きたくなったんですよ」
Na:9か月前、番組の収録と映画の現場を往復しながら、やがて受ける取材を想像して現場での感想を書き留めていた。
「そん時やっぱり感じたことですかね。演じてて。撮影に挑んだ姿勢だとか、ね」
「これは忘れちゃいけないなと思って、ザーって書いたんですよ」
ス「それが今に生きてたりするんですか?」
「はい。そんとき、本当に感じたものは、とりあえず気持ちがあるんで、ちゃんと射止めることができんのかなぁって。射抜くことができるコメントなんだろうなっていうのは持っておきたいんですよ。理解されなくても、自分の言ってることは、ちゃんとその時感じたものなんですよって、嘘にならないようなコメントですよね」
ス「なるほど」
「これ、もうね」紙をしまう。
ス「嘘にならないように・・・」
「嘘にならないようにですね」
字『嘘は話したくない』(ブラックバック)
それは、この映画に関してのコメントだけでしょ。それも真面目な取材のとき限定(笑)。
字『file.7 現在の自分』
タバコを吸う。
ス「全部やんなきゃいけないじゃないですか」
「いや、難しいんですよ」左手で、鼻の横あたりをこすって。
「芸人さんでもないですし、でも芸人さんっぽいこともやらしてもらってる、コントとかね」右手人差指と中指でタバコをはさんだまま、右手薬指と小指で左手の指を1本ずつ折る。まず親指。
「司会者、キャスター的なこともやらせてもらってますし」2本目。人差し指を折る。
「歌のかじって」中指。「ダンスもかじって」薬指。
「役者も」5本目の小指を折る。「全部だめなんですよ」左手はグーになっている。
ス「ダメじゃないですよ」
「いや、ダメなんですって。ホンットに。」
<そんなに言うのは「ダメじゃない」と言ってもらいたい気持ちがあるからだと思いますよ、中居さん(笑)>
「あのーノムさんの本で、野村−野球はゼロだと。僕はそれが出来ないんですよね。なぜかってやっぱり不安なんで。中居−歌は、MC、お芝居、ダンス。中居−MCは、芝居があって、歌があってって。何か保険をかけておかないとダメなタイプかもしれないですね」
「だからこないだの北京オリンピックの時に、すーんごい遅いんですけど、アナウンサーの人に滑舌の練習を。ア!イ!ウ!エ!オ!みたいなことですけども。
これをもう、やらないとずーっといけないと思ってたんですよ。昔よく言ってたのは、アーティストとかロックグループとか、休養宣言みたいな、充電期間みたいな。何、充電っていうのは一晩寝れば充電出来んじゃないの?っていう。充電なんて、そんな、一日寝ればいいじゃんかって、しばらくお休みとって体を休ませたいって、そんなの一日だべ?って思ってたんですよ」
ス「真面目ですね」
ふーっと煙を吐きながら笑って、「真面目なのかな(笑)」
字『一晩寝れば充電できる』(ブラックバック)
トイレに行ってたのか、戻ってきて座る。グレーのチェックのパンツでした。
Na:インタビューは3時間を超えようとしていた。
「フィニッシュ?」
タバコに火をつける。
ス「今まで、一応24分の中で、CM2回挟んで3つロールがあるんですよ」
「はい」
ス「今日がロール2」
「え?」本当にびっくりした感じ。
ス「ロール3がまだないです」
「え゛ぇーー?」
「ロール3ってあと何があるんですか?いい話とかしたよ?深めの話したのに」
ス「はい、しました。だからロール2に固めます」
「ロール3、何が欲しいんですか?」
コンサート映像。
Na:またお祭りの季節がやってきた。SMAPは今ドームツアーの真っただ中にいる。観客動員総数80万人。このショーのためだけに開発された舞台装置。その中心に5人が立った時、空前のエンターテイメントの幕が開く。
弾丸ファイターの中居中心の映像。あいさつの部分『SMAP、待ってたぁー?今日は楽しみましょー!』
$10、バンバカ。
Na:結成して20年。日本の芸能史に残る彼らの物語はこの声援がある限り続いていく。そのたびに今思うこと。
前半に出てきた6月27日の服で、楽屋。左手頬杖。って失礼な感じじゃなくて、頭の重さを手に預けてるような頬杖じゃないです。
「汗かかないといけないんじゃないかな、とはすごく思います。やっぱり汗かくことは大事じゃないかなぁって。やっぱり偉くなってくると、歳とかとってくると、どうしても汗かかなくなってくるポジションになってくるのはイヤですね。常に汗をかいていたいなってのは思いますけどね。
あ、ヤバい、何も考えてないのに終わっちゃったみたいなのはちょっと怖いですね。なんか罰当たるみたいな感じで」
字『file.8 中居正広らしい終わり方』
黒ハット。グレーのVネックセーター、胸にエンブレム付き。あー、何かで見た格好だな。調べる気はないけども。
「今ちょっと渋めに話したの全部嘘ですけど大丈夫ですか?カカカカカカ(笑)!」
「結構僕嘘つきですよ」
と立ち上がる。
「アハハハハ(笑)!」と歩きながら、「ありがとうございました!」と手をちょっと上げ、「あざーした!」ちょっと会釈して、ドアの向こうに消えていく。
全然ダメだねー、情熱大陸。
おそるべし、中居正広。
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